【鎌倉FM 第39回】湘南で叶える暮らしと仕事、3年間の総集編

ローカルラジオ「鎌倉FM」の番組として2019年1月から始まった当企画『湘南LIFE×WORK』。今回は3周年の節目にあたり、これまでのゲストトークをナビゲーターの小松あかりさんと湘南WorK.が振り返ります。3人が湘南エリアで暮らし働く人々に着目し探求してきた「未来の豊かさ・幸せのヒント」。朧げながら見えてきたそのカタチとは? そして4月以降の新たな展開とは?

目次

湘南エリアの豊かな生き方・働き方を追って

小松

さて、湘南ライフワークも今回で39回目です。

河野

39!

小松

2019年1月にスタートして、丸っと3年以上。総勢37名のゲストの方にお話を聞いてきました。

河野

37名ですか、継続ですねぇ。

小室

3年も続いたことって今まで何かあります?

小松

本当ですね(笑)。3年の間に素晴らしい方々のお話をたくさん聞かせていただきました。この番組は「湘南で叶える暮らしと仕事」というテーマでやってきましたけれども、お2人にとってこのテーマの下で印象深かったゲストの方やエピソードはありますか?

小室

お1人目がウッポンさん(内堀敬介さん/朝食屋COBAKABA店主 )でしたよね。あの方を象徴とするような、空気感や世界観でこの番組をやってきました。ウッポンさんの音楽をBGMにも使わせていただいて。それがまず原型になっているような気がします。

河野

どの方も印象的でしたけど、強く心に残っているのは「由比ガ浜茶亭組合」の増田さん 。この回はシビレました。「海ってそもそも人類の起源だから、誰しもの心の中や根底にあるものだよね」というお話から、「死生観」みたいな所へお話が進んで。最後はみんな必ず死んでいく、そこを本当の意味で理解すると人生が変わってくる、という深いお話をされていたのがとても印象的でした。この地に暮らす理由というか、海に引き寄せられている増田さんの思い入れが伝わってきて。

小室

大切な回でしたね。こうして振り返ってみると、すごいゲストの方々ですよね。

小松

そうですよね。ざっとご紹介しますと、朝食屋COBAKABAの内堀敬介さんに始まり、湘南レーベルの谷内香織さん、この回も良かったですよね、多世代の交流が湘南のカルチャーをつくっていくんだというお話がありました。
 
そして逗子の「アンドサタデー」さん。「コーヒーと編集と。」というキャッチフレーズで、街の編集室としてやっていくんだという。この方々も複業のバランスが素晴らしかったですよね。

小室

やっぱりマイクロさんじゃない?

小松

マイクロさんもね! より良い生き方につながるGood Vibes。心がときめく方へ、グッドバイブスの方へ行こうぜっていう、この感じが大事なんだって教えていただきましたね。

小室
小松

滝沢さんも震えましたねぇ! たくさん笑いましたね。 自然と文明の融合がある貴重な土地なんだ、鎌倉は、と熱く語ってくださいました。

小松

瀬戸さんも本当に良かったですねぇ。瀬戸さんも、ご自身が心地いいと感じる方をシンプルに、正直に選択していったという感じでしたね。大義とかそういうことよりも。

小室

そうですね、大義というか、「私の人生でこれをやるべき!」という思いと社会的な意義とがうまく重なったという感じですよね。その情熱、心の強さみたいなものにすごく感動した。瀬戸さんの収録の後、しばらく頑張れたもん(笑)

小松

深い愛情みたいなものを感じましたよね。勇気をもらえましたね。

小室
小松

VUCA時代をどう生きるか。

小室

これからのキャリアをどう考えるかという所をしっかり話していただける方は貴重。もっともっとお話を聞きたかったです。

小松

いやぁ、本当に素晴らしい方々にお話を伺ってきましたね。

小室

それから『SHONAN TIME』編集長の富山さん 。心を動かし続ける生き方。

小松

長年編集の世界をやっていらっしゃって、ずーっと心を動かし続けているってすごいですよね。

小室

変化を楽しんでいらっしゃるんですよね。最近の湘南の変化をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかという話で、富山さんは「ポジティブしかない」って。「そうしないともったいないでしょ」という言葉にハッとしました。収録のたびに、豊かな生き方をしている人が湘南エリアにはたくさんいるんだなと感じます。そういう方に1人でも多くお話を伺いたい。

小松

ご出演いただいた方々お一人おひとりのお話、いまだにこんなに語れますね!(笑)

小室

1年に1回、総集編が必要だったかもしれない。

小室

本当ですね。これはかなり貴重ですよね。

コロナ禍で変化した「生き方・働き方」へのニーズ

小松

「暮らしと仕事」というのがテーマなので、そこに着目しながらたくさんの方のお話を聞いてきましたが、いろんなタイプがありましたよね。生活圏の中で仕事も叶えているタイプもあれば、逆に別々にすることで自分の切り替えやバランスを取っているケースもあって、本当にさまざまなスタイルがある中で、湘南WorK.では、たくさんの方々の働き方・生き方・暮らし方のニーズを聞く場面も多いと思うんですが、小室さんはどうですか? そういった中でみなさんのニーズの変化などは感じていらっしゃいますか?

小室

そうですね、もともとこの湘南WorK.は2017年から始めて「職住近接」をテーマに活動していたんです。コロナになって、職住近接はよりスタンダードな考え方になった。これがまず1つ目の変化かなと思っています。「自分の人生を、より自分でグリップするための生き方・働き方って何だろう?」という人が問い合わせをしてきてくれるケースが多くなったと思います。

小松

「職住近接」って、今はあまりに身近になってしまって、聞かなくなりましたよね。

河野

確かにそうですね。2017年では「職住近接」をこれからのスタイルとして提唱していく、というスタンスだったんですが、今はそれがスタンダード。

小室

でもまだまだ求職者と企業の求める人材とのギャップがあって、今、求職者はリモートワークを求めているんですよ。職住近接を飛び越えて。ところが企業側が提示する条件はそうじゃなかったり。そこにギャップを感じますよね。

小松

先日、現役の大学生にお話を聞くタイミングがあって、「今まさに就活中」っていう子に聞きましたら、最低条件としてフルリモート・フルフレックスで探していると。それは一例かもしれませんけど、そういうふうに仕事を探せる時代になってしまっているっていうのが、すごい衝撃だったんです。でもこの波は今後も広がっていくんでしょうね。

どちらかを選ぶのではなく、どちらもやるから自分らしい

河野

本当に抜本的に考え方が変わりましたよね。これだけの変化って、何十年に1回あるかないかの大きな変化ですよね。満員電車に乗って出勤していくのがスタンダードだったのに、今やもう完全にそうではなくなっている。もちろん程度の差はありますが。

小室

そうそう。だからこそ、より能動的に自分のやりたいこと、やるべきことを叶えたいんだという方の問い合わせが増えてきています。先日お問合せくださった方のお話ですが、正しい英語学習を世の中に広めたいという思いで、茅ヶ崎で子ども向けの英会話教室をやっていらっしゃる方で。英語学習をやりながらもう一つ自分を成長させる場という意味で「働く」ということをやっていて、今まで海外の企業の越境ECのお仕事をされていたんです。どちらが主か副かというわけではなく両輪でやっていた。
 
その海外の案件に区切りがついたので、もう一つの働き方を探しているんだけど日本の企業にはなかなかそれが無い。やはり日本の企業は形式ばったりするから正社員じゃなきゃダメとか、週5フルコミットしてくださいという所から入ってしまうんだけど、本人の希望とは合わない。その方ももう諦めかけていて。「やっぱり正社員で働くしかないんですかね」って、正社員の案件を探しているんですけど、それってなんか違うなと。そっちを諦めてこっちを取るって話じゃないですよね、と。で、結局、業務委託の案件なんだけど、その方の働き方を許容してくれる会社が見つかって働くことになったというマッチングをしたんです。
 
何が言いたいかというと、働き方や雇用形態のルールを変えるだけで、そういう優秀な人材が採用できるってことなの。そこに気づいていない、社会がまだそっちに追いついていないなっていうギャップをものすごく感じるんだよね。どっちが本業で、どっちが副業とかじゃないんだもん。両方やりたい、両方やって自分なんだっていう考え方だから。もう「どっちか」という時代じゃないのかもしれないね。

これからの新しい豊かさや幸せをどう掴むのか

小松

ゲストのお一人の、陶芸家の林彩子さん。私の中で印象的だったのは、「コントロールできないものを楽しむんだ」っていう姿勢です。女性ならではの柔軟性とポジティブに物事を捉えていくっていう所。陶芸も最後は窯で焼く、自分の手から離れて変化を楽しむという部分もあるんですが、この時代の中でコントロールできないものに対峙したときに、どうそれを楽しんでしまうのか、前向きに捉えてしまうのかという姿勢を学んだなと思いました。

小室

彩子さんの回、良かったね。

小松

シビれましたね。画家の田中健太郎さんも、この3年の間に一気に有名になられて。先日個展でお会いしてきたんですが、もちろんさらにパワーアップはしているんですが、収録でお話を伺った時から変わらないのは、自分でつくり上げた作品に自分が自信を持つ姿。常に磨き続けているストイックな力強さを改めて感じました。

河野

田中さんは、絵のことを「人生を狂わされるくらい好きなもの」っておっしゃってますよね。そのくらい好きなものに出会えて幸せだと。これからの社会において、本当に好きなものを見つけていくというアクションがどう変化していくのかは、すごく興味があります。リモートワークになって、本当に豊かか、本当に幸せかということとは、もしかしたらイコールじゃないかもしれない。そこにどう向き合っていくのか、この時代の中で新しい幸せをどう掴んでいくのか、それはこの先も追いかけていきたいテーマですよね。

小松

これまで多くのゲストの方にお話を聞いてきて、けっこうこういう方が多いんだなと思ったのは、目的を持ってそこに行ったというよりは、心地いい選択をし続けてきたらここに行き着いた、って方が多かったように感じて。そういう選択の仕方のコツみたいなものもたくさん教えてもらえたような気がします。湘南WorK.のウェブサイト(2023年4月メディア「はたらくの先に」に移行)にこれまでのインタビューの記事がぎっしりと詰まっていますので、お時間があるときにぜひ一つひとつ読んでいただきたいと思います。
 
さて、今年は4月から新たに、この番組「湘南LIFE×WORK」の第2章が始まります。これまで「湘南で叶える暮らしと仕事」というテーマでお届けして参りましたが、これは物理的にもリモートワークなども進んで叶えられるようになってきました。じゃあ、その中でみんなどんなふうに働いてるの? 生きているの?という所を、さらにいろんな方に伺っていきたいと思います。

河野

僕ら3人の活動の領域もそれぞれ違うじゃないですか。それぞれからつながる多様な分野のゲストをお招きしたいですね。小室さんやあかりさんがどんな人をお呼びするんだろう?って所にもワクワクがあったりしますので、非常に楽しみです!

小室

ゲストの方のお話を聞くって、シンプルだけど僕たちにとって、とても重要なインプットの時間になっていると思うんです。フリーテーマのように見えるんだけど、実は「働く」という主軸があって、自分の人生を自分でグリップして能動的に生きている人の話を月に1回聞くのは、僕にとっては宝物なんですよね。これからもっといろんな人のお話を聞いて、それをもっと発信していきたい。シンプルにそう思います。

小松

「働く形の多様性」をこれからもみなさまにご紹介していきますので、楽しみにしていただけたらと思います!

3年間のゲストトークのアーカイブ記事はこちらから!

ナビゲーター

(左)小室 慶介/(中央)こまつあかり/(右)河野 竜二

こまつあかり
岩手県出身、鎌倉在住。
ナローキャスター/ローカルコーディネーター
地域のなかにあるあらゆる声を必要な人に伝え、多様なチカラを重ね合わせながら、居心地の良い「ことづくり」をしている。
Instagram @komatsu.akari
@kamakura_coworking_house @fukasawa.ichibi @moshikama.fm828 @shigototen
湘南WorK.の冠番組である鎌倉FM「湘南LIFE&WORK」のパーソナリティを務め「湘南での豊かな暮らしと働き方」をテーマに発信。多様性を大切にした働き方、それが当たり前の社会になること。その実現へ向けて共創中。

小室 慶介(こむろ けいすけ) 
湘南鵠沼育ち、現在は辻堂在住(辻堂海浜公園の近く)。
長く東京へ通勤するスタイルでサラリーマンを経験。大手スポーツ関連サービス企業にて、事業戦略を中心に異業種とのアライアンススキーム構築を重ねるものの「通勤電車って時間の無駄だよな」という想いがある日爆発し、35歳で独立。幼い頃から「自分のスタイルを持った湘南の大人たち」に触れて育った影響か、自分自身で人生をグリップするしなやかな生き方・働き方を模索し始め「湘南WorK.」を立ち上げる。相談者が大切にしていることを引き出しながら、妥協のないお仕事探しに伴走するキャリアコンサルタント。

河野 竜二(こうの りゅうじ) 
神奈川県出身、湘南在住。
教育業界10年間のキャリアで約2,000人の就職支援に関わり、独立。キャリアコンサルタントとして活動する。それと同時に、”大人のヨリミチ提案”がコンセプトの企画団体「LIFE DESIGN VILLAGE」のプロデュースや、日本最大級の環境イベント「アースデイ東京」の事務局など多岐にわたって活動する。湘南が誇るパラレルワーカー。

この記事を書いた人

文筆家。2007年~2018年まで鎌倉に暮らし、湘南エリアの人々と広く交流。
現在は軽井沢に住み、新しい働き方・暮らし方を自ら探求しつつ、サステナビリティやウェルビーイングの分野を中心に執筆活動を行っている。

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