【鎌倉FM 第84回】「余白」から始まるキャリアのつくり方
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「余白」から始まるキャリアのつくり方
2021年に鎌倉へ移住し、パートナーと共に材木座で「関係案内所はつひので」を運営している、空想家・コミュニケーションデザイナーの藤原晧平さんが今回のゲスト。空想や人との関係性といった「目に見えないもの」、「形になる前の何か」、「ご縁」などを仕事の中心に据え、ユニークな肩書きを自ら生み出している藤原さんは、従来のいわゆる“クリエイター”とも一線を画す、新しいつくり手と呼べそうです。
藤原さんの変遷多めの独自のキャリアに通底するのは、新しい仕事の始まりがいつでも「人」と「余白」であること。世の中に何か新しい価値を創り出そうとする人がいて、そのチャレンジに藤原さんのワクワクが刺激され、そもそもそこにどんな仕事や役割があるのかも未整備のうちから現場に飛び込み、その場の熱と一体になりながら、次々と湧いてくるあれやこれやの仕事にとにかくのめり込んでいるうちに、やがてそこに藤原さんの役割と報酬が後追いで形づくられて行く。経済的な条件や「何ができるか(Can)」から入るのではなく、「誰と動きたいか」というご縁と好奇心を優先することで、想像以上の展開に巻き込まれていく自分を楽しんでいるようにも見えます。
そんな藤原さんにとっての「働く」とは、「人と動く」こと。通説的な3年縛りのキャリア観を手放し、自分が好きな人・引き合う人と共に、金銭が発生しない「余白」の時間にエネルギーを注ぎ込むことが、これからの時代の最強の転職術でありキャリアのつくり方なのかもしれません。
藤原さんは、東京の葛飾で1800gの未熟児としてこの世に生を受け、一時は心肺停止状態も経験したそうです。だからこそ自分の心身の健康を意識し、よく眠り、しっかり食べることを大事にしているそうですが、特別な期待は何もなかった鎌倉に、パートナーとの出会いがきっかけで移住してから約5年。この町の自然と暮らしの近さ、人と人との距離の近さに、人生の幸福度やご自身のコンディションが確実に上がったことを感じています。道が狭いからこそ知り合いとすれ違い、挨拶を交わし合う頻度も高いし、時には知らない人からも挨拶が返ってくる、ここはそんな“血の通った町”。「自分が挨拶をして、その反応が返ってくることで、人は体の中でありがたいとか、生きているっていう認識を持てるんじゃないか」と藤原さん。私たち生き物は皆、関わり合うことで生命エネルギーを交換し合っているのですから、自分自身がすこやかに居心地よくいられる町で暮らすことが自分のエネルギーの質を良くし、結果、引き合う人やご縁、ひいては仕事も変わっていくのかもしれません。藤原さんも鎌倉に来てから、働くことと生きることがよりいっそう一つになったと感じているとのこと。身を置く場所を変えてみることから、新しいキャリアへの道が開いていくこともありそうです。
複業が許され何にでもなれる時代、現在の仕事の傍らでこれからのキャリアを模索したいなら、新しいスキルを習得せねばと焦るよりも、肩の力を抜き、まずは自分が好きな町やコミュニティの中で「面白そうな人の隣に座ってみる」ことから始めるのも有効な戦略。そして「人とのご縁」と「余白」が交差する場所で何かが始まるのだとしたら、鎌倉や湘南という土地にはそれらがふんだんにあり、藤原さんという先駆者が、その掛け合わせ方を指南してくれるのです。
(角 舞子)
今回のゲスト

藤原 晧平(ふじわら こうへい)さん
空想家・コミュニケーションデザイナー
東京都出身。明治学院大学心理学科卒。
ライブドアマーケティングにて広告企画営業を経験後、複数企業で広報・企画を担当。
株式会社フリープラスではIPO準備に関わり、ホテル立ち上げにも参画。
その後、和歌山県高野山の寺に住み込みで働く中で「空想」という独自のサービスを立ち上げる。
2021年に鎌倉へ移住し、材木座で「関係案内所はつひので」をパートナーと運営。
人と人、人と場の関係性を編み直す実践を続けている。




