【鎌倉FM 第32回】未来を生き抜く小さな国際人を育てる。

コロナ禍以降ますます加速する都心から湘南地域への移住。恵まれた自然環境と共に、幼少期の教育にさまざまな選択肢があり、子育て世代にも人気を誇ります。今回は「湘南の次世代教育」に注目し、幼少期からのたくさんの遊びと英語教育で、これからの未来を力強く生き抜くクリエイティブな国際人材を育てるコスモスインターナショナルスクール 鎌倉校の教育方法を、代表の山本美澄さんに伺いました。 ご自身のお子さんの預け先や幼少期の教育について検討している方、子どもや自分自身の育て直しのヒントを得たい方、必読です。

目次

薬剤師をしながらインターナショナルスクールを設立

小松

まず、山本さんの自己紹介をよろしいでしょうか。

山本さん

教育業界としては異例の経歴を持っていると思うのですが、大学を卒業して以来、調剤薬局や病院などで薬剤師として10年以上勤務しておりました。薬剤師時代にヨーロッパを視察する機会を得て、ヨーロッパの薬剤師は4ヶ国か5ヶ国語は話せないと、国境を超えて処方箋を持ってきた患者さんの対応ができないという、日本との大きな違いを実感した経験があります。
 
薬剤師として勤務している中、保育園に我が子たちを預けていたのですが、ある日、テレビでインターナショナルスクールの特集を見まして、子どもがそこを見学してみたいと言うものですから、仕事の休みを取って連れていったところ「ここに入学したい!」って自分で決めてしまって(笑)。それで入学させたのはいいのですが、それからがけっこう大変で。子どもが3人いるので、2人目、3人目を保育園からそのインターナショナルスクールに徐々にシフトしていったところ、言葉はできるようになったものの、お金も時間も体力的にも私のやり繰りができなくなってしまいまして。結局そのインターナショナルスクールに通わせることを断念しました。
 
それでフォローできるところが近くにないかと探したのですが、なかったものですから、ヨーロッパでの経験も頭に残ってましたし、じゃあ自分でやっちゃおうってことで、そんな動機で始めたんです(笑)。幼児教育の経験もないし、そこから勉強して保育士の資格は取ったものの、まだ本当に英語の面でも教育の面でも、日々学ぶことがいっぱいという状態です。

河野

始めた当初は薬剤師の仕事もしながら?

山本さん

そうですね、初めは学校としての採算も取れていなかったので、平日は立ち上げた学校に勤務して、休日は薬剤師の仕事をして。

小室

並行されていた時期があるんですね。

保育園から高校生まで、英語が身に付く多様なクラス

小松

鎌倉校は最近になって現在の住所に移転されたということですが、以前はどちらでされていたんですか?

山本さん

以前は鎌倉と逗子の間にある住宅地の一軒家で、本当に細々とホームスクールスタイルでやっていたんです。

小松

ではこの移転を機にいろいろと整えたところが大きいと思うんですが、現在コスモスインターナショナルスクールで展開しているカリキュラムを教えていただけますか?

山本さん

はい。以前、鎌倉と逗子の間にあるハイランドの住宅地にあった時は、9時〜3時まで幼稚園の代わりに来るコース、私たちは「プリスクール」と呼んでいる、そのコースのみだったんです。それともう1校、逗子駅前校をオープンしておりまして、そこは「ショートコース」のみのカリキュラムでした。2020年の6月から鎌倉の現在の場所に移転したと同時に、ハイランドでやっていた「プリスクール」と逗子駅前校でやっていた「ショートコース」を合併して展開しています。
 
いろいろなカリキュラムがあるのですが、初めの一歩、「ファーストステップ」と呼んでいる、1歳〜3歳対象の親子クラスがあります。週1回、月曜日または火曜日に1時間ずつご参加いただくコースで、親子で一緒に、英語での歌と踊りを通じて五感を使いながら楽しんでいただくクラスです。導入のクラスなので、英語を学ぶというよりは、日常のどういった場面で英語が使えるのかというのを五感を通じて体で学ぶ内容ですね。
 
そして「ミニキンディー」という、ふだんは日本の幼稚園に通っている子たちが通うクラスと、「アフタースクール」という、ふだん小学校に通っている子たちが放課後に通う4時半〜6時までのクラスがあります。うちのプリスクールを卒業したバイリンガルの子や帰国子女の子が通うクラスがあったり、小学生からabcを学ぶクラスもあります。また、中学生・高校生になっても続けたい子のためのクラスや、そこから英語を始めたいという子たちに向けた夜のクラスもあり、比較的バラエティに富んでいると思います。
 
私たちがメインとしているプリスクールのキャッチフレーズは「英語で生活する保育園」。運動会やクリスマス会、発表会、お誕生日会などもありますし、ハロウィンやサンクスギビング・デーなどの外国の行事に加えて日本の行事、例えば雛祭りや七夕祭りなどを英語でやったりもします。

河野

やっぱり僕らの世代は英語コンプレックスがあるじゃないですか。一歩も二歩も遅れちゃったね、という世代なので、息子たちには国際的に活躍できるためにもやはり英語を学ばせたいという気持ちは強くありますよね。

小松

ありますよねぇ。見学は随時できるのですか?

山本さん

はい。コロナ禍で密を避けるために、人数をある程度制限させていただいておりますので、まずは電話でアポイントをいただいて空いている曜日をご案内しています。ファーストステップの場合は、550円で1回トライアルもできます。

2歳〜6歳の時期に英語を学ぶ重要性

小松

山本さんが英語教育の観点で、ぜひ、ここは逃してほしくないという年齢、またはカリキュラムってありますか?

山本さん

2歳ぐらいからのデビューがいちばん言葉に対する抵抗がないと言いますか、ためらいなくお母さんの言葉もリピートする時期なので、デビューにはそのくらいの年齢が相応しいと思います。スムーズに身に付くのかなと。2歳暗いですと、聴こえた通りに発音できますし、吸収力が抜群なんです。

小松

日本語でも、子どもはちょうどその頃から言語を習得し始めて、アウトプットし出す時期ですよね。

山本さん

言語を学ぶのには臨界期というものがあります。楽に学べる時期ですね。絶対音入れ替わり期といって、その時期にいろんな言葉の音域を聞いておけば、将来他の言語が入ってきた時も同じ発音ができるようになるというのが6歳以下。言語は自分の気持ちや意見を伝える道具だというところを実際に体感しながら学ぶと言いますか、その頃の子どもたちは学ぼうとすら思っていないですよね。日常的に過ごしている中で当たり前のように習得していく。そこが大人とは違うところですかね。

小松

講師陣も本当に多様性のある、いろんな国籍の先生がいらっしゃいますよね。山本さんが常に大事にしている教育方針や、コスモスインターナショナルスクールとしてはこんな心持ちでいたいというものはありますか?

山本さん

先生がたもいろんな国から来ていて、子どもたちも本当にバラエティに富んでいます。最近はさらに多様性が広がってるような気がしていて、対応に迷うこともあるのが現状です。でもその中で、やはり将来を背負う子どもたちには、他者との違いも認め、そこを尊重し、「違うけどいいんだよ」という価値観を体感してもらえればと思っているんです。その価値観は年齢が小さければ小さいほど自然に身になっていきますので、本や人から教えられるのではなく、自分で体感しながらそこを身に付けられるのがコスモスの良いところかなと。いろんな国籍や個性の違う仲間と接することによって、自分自身の立ち位置を見つけつつ生きる力が養われればと思います。
 
将来を背負う子どもたちには、これからいろんな苦労があるだろうと想像できるので、どんな未来であってもたくましく生きる力をつける礎になってくれればいいなと願っています。

小松

そういった意味でも言語の習得は、やはり大きな安心ですね。伝える術があるという。

山本さん

言語を通じた表現の仕方や感覚の違いなども、国際性を養うには大事なところではないかと思います。いろんな国の人々と接しつつ、考えや習慣の違いを学び、でも大事にしているところは一緒なんだということが幼い時から分かってもらえるといいなと。

英語だけではない、未来を生き抜く次世代の素養とは

小松

スクールを立ち上げて何年目になるんですか?

山本さん

2002年の11月からなので、もう19年ぐらい。

小松

その19年間で、利用者のニーズや目線が変化していると感じることはありますか?

山本さん

やはり規模が大きくなると、今まで以上に細かく子どもたちを見ていかないと伸びるところも伸びなかったり、ケアも行き届きにくくなったりしがちですので、今は規模が大きくなった分、ちゃんと組織ができて、みんなが細かいところまでうまくケアできるように工夫をしているところです。

小松

新たな課題が出てくるんですねぇ。

山本さん

本当に。少し難しさを持っているお子さんも、おそらく増えてきていると思うので、その辺りもちゃんと勉強してケアしつつ、みんなとも仲良くやって、お母さんの理解も得られて…というふうにして行くには、やはり平均値だけだと追いつかないところもあり、なかなか時代的には大変です。

小松

そうですよね、さまざまなバックグラウンドを持っている方がいらっしゃると思いますし。

山本さん

本当にそうです。特にコロナで心配事が増えている方もいらっしゃるんだろうなということは、子どもたちの日々の生活を見ているとすごく感じますね。

小室

いろんなニーズに合わせて包括的にクラスを設定いただいていることが、まさにそうした課題のニーズに答えている形なのかなと思いますし、すごいなと思います。

山本さん

もう日々チャレンジで、老体に鞭を打って、無い能力を振り絞ってやっています(笑)

小松

毎日のようにスタッフのみなさんとディスカッションされたり、それをベースに改善して行ったり。

山本さん

はい、そんな感じです。最近、「STEAM教育」というのを始めたんです。「STEAM」は、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、マスマティックス。要するに論理的思考力を養う教育です。自分で考えつつ切り開いていく力が世の中にはすでに必要になってきています。英語は喋れた方がより良いですし、視野が広がるツールにもなると思うんですが、もう翻訳機がやってくれたりもしますので、一方で英語だけじゃ足りないというところを感じて「STEAM教育」もやり始めたところです。べーシックなものからアドバンスのものまでさまざまなコースがあるので、お問い合わせいただければその方に合ったコースをご案内いたします。

小松

すごいなぁ、うちの子も入れたい! 

英語も、遊びも目一杯。多様性を自然に認められる国際人へ

小松

この夏のカリキュラムはどんな感じだったんですか?

山本さん

午前中は教室の中で、小さい子は歌ったり踊ったりもありますが、上の学年になるにつれてデスクワークが多くなってきます。午後はランチを食べた後、外に行って遊びます。水遊びしたり、外に行ってサッカーをしたり、そんなカリキュラムです。

小松

インプットも、アウトプットもバランス良くするんですね。

山本さん

そうですね、やはり子どもは遊ばないと集中力が持たないし、体を動かさないとバランスが取れないので。ふだんでしたら歩いて公園まで行くんですけど、この夏の暑い時期は熱中症が心配なので、スクールバスで子どもたちを連れて行って。

小松

スクールバスもいいですよね、手厚いですよね。

小室

親としては安心ですよね。

小松

カリキュラムの詳しい内容はホームページに?

山本さん

大まかにはホームページに掲載してありますが、詳細は個別にお電話やメールなどでお問い合わせいただければと。
 
子どもの目の輝きが、この大事な時期の過ごし方によって、こんなに違うんだなと実感しています。コスモスは勉強する時も一生懸命、遊ぶ時も一生懸命。でも完璧ではなくて、私たちも日々勉強、勉強でやっています。

小松

工夫していきます、という、そこに安心感がありますね。

小室

「うちはこれだから、こうです」じゃないってことですよね。

小松

教育も一律じゃなくて、多様性の時代ですね。最後になりますが、今後の展望やリスナーのみなさんへメッセージがありましたら一言お願いします。

山本さん

「子どもは子ども同士で伸びる」というところが、日々とても感じるところです。これから力強く生きていく力を育むには、2歳〜6歳まではとても大事な時期なので、いろんな経験をさせてあげて、いろんな苦労もさせてあげて、その中ですくすくと育っていってほしいと思いますし、コスモスはそういう機会を提供できる場でありたいと思っています。

今回のゲスト

山本美澄(やまもとみすみ)さん

コスモスインターナショナルスクール鎌倉校代表。薬剤師として10年以上勤め、2002年11月に、3人の我が子のために独力でインターナショナルスクールを創設。未来を生き抜く小さな国際人を育てることを目指し、多彩な国籍の講師陣と共に保育園から高校生までを対象とするさまざまなクラスを提供。2020年鎌倉市雪ノ下へ移転し、英語教育と同時にさらなるカリキュラムの充実を目指して「STEAM教育」も取り入れたスクール運営を行なっている。
 
 コスモスインターナショナルスクールWebサイト▶︎ http://cosmos-sch.com/

ナビゲーター

(左)小室 慶介/(中央)こまつあかり/(右)河野 竜二

こまつあかり
岩手県出身、鎌倉在住。
ナローキャスター/ローカルコーディネーター
地域のなかにあるあらゆる声を必要な人に伝え、多様なチカラを重ね合わせながら、居心地の良い「ことづくり」をしている。
Instagram @komatsu.akari
@kamakura_coworking_house @fukasawa.ichibi @moshikama.fm828 @shigototen
湘南WorK.の冠番組である鎌倉FM「湘南LIFE&WORK」のパーソナリティを務め「湘南での豊かな暮らしと働き方」をテーマに発信。多様性を大切にした働き方、それが当たり前の社会になること。その実現へ向けて共創中。

小室 慶介(こむろ けいすけ) 
湘南鵠沼育ち、現在は辻堂在住(辻堂海浜公園の近く)。
長く東京へ通勤するスタイルでサラリーマンを経験。大手スポーツ関連サービス企業にて、事業戦略を中心に異業種とのアライアンススキーム構築を重ねるものの「通勤電車って時間の無駄だよな」という想いがある日爆発し、35歳で独立。幼い頃から「自分のスタイルを持った湘南の大人たち」に触れて育った影響か、自分自身で人生をグリップするしなやかな生き方・働き方を模索し始め「湘南WorK.」を立ち上げる。相談者が大切にしていることを引き出しながら、妥協のないお仕事探しに伴走するキャリアコンサルタント。

河野 竜二(こうの りゅうじ) 
神奈川県出身、湘南在住。
教育業界10年間のキャリアで約2,000人の就職支援に関わり、独立。キャリアコンサルタントとして活動する。それと同時に、”大人のヨリミチ提案”がコンセプトの企画団体「LIFE DESIGN VILLAGE」のプロデュースや、日本最大級の環境イベント「アースデイ東京」の事務局など多岐にわたって活動する。湘南が誇るパラレルワーカー。

この記事を書いた人

文筆家。2007年~2018年まで鎌倉に暮らし、湘南エリアの人々と広く交流。
現在は軽井沢に住み、新しい働き方・暮らし方を自ら探求しつつ、サステナビリティやウェルビーイングの分野を中心に執筆活動を行っている。

森田マイコの記事一覧

目次