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& Column
自分自身の転換点のつくり方
いよいよ「個の時代」が本格化する中で、アイデンティティの見直しを迫られている人も少なくないのでは。幼い頃から協調性や正解を探す能力の方を評価されてきた人にとっては、まさに天地がひっくり返るような時代の価値観の転換。戸惑い、立ちすくんでしまっている人もいるのかもしれません。
「自我」とは、これまで自分が歩んできた道筋から立ち上がる「過去の自分」にすぎないとの話もあります。自分の考え方や行動の癖、親も含めた他人や世間からの評価と影響、身を置いている場所や共同体からの同調圧力、長年の習い性などによって形成されてきた「過去の自分」を、いつの間にか自分自身だと思い込んでいる私たち。だとすると、その延長線上にある未来を選び続ける限りどこまで行っても、感じているその「何か忘れ物をしたような感覚」は解消されることがなさそうです。
今回のゲストである佐藤稜馬さんから教わるのは「Go for it」、つまり「悩むところにエネルギーを使わず、進むしかない状況を選択する」ことの、究極の合理性ではないかと思います。準備ができたら飛び出そう、のままでは、その時は一生来ないと思った方がいいのかもしれません。過ぎてゆく時間、くすぶり続けるエネルギー…限りある生の中で、どのみち予測不可能な未来であるならば飛び出す方が先。まず「過去の自分」のいる部屋のドアをキッパリと閉めることでノイズが無くなり、心と体が求める本当のアイデンティティの根源に出会い直すことができそうです。
もしそこで、ドアを閉めることを「怖い」と思うなら、その「恐れの根っこ」を掘り下げてみるのもおすすめです。そこには自分が長年握りしめてきた、自分を足止めする信念がある場合が多いのです。そしてそれは意外と「間違った思い込み」であることもよくあります。「私は何がしたいんだろう?」の答えが見えない時は、「私は何を恐れているんだろう?」と自分への問いかけを変えてみることで、自分の土台、すなわち「これさえあれば幸せ」が何であるか分かるのです。
過去からの連続性をあえて断つ時、同時に新たな自分が起動する。そして、過去ではなく「今の自分」ができることを無我夢中でアウトプットしていった先に、自分だけの「生きる」や「働く」や「ライフスタイル」が自ずとつくられていく。一見荒療治であり、無計画に思えるかもしれませんが、実は無駄のないやり方。オンオフの境目がないとか、何のスキルを掛け合わせると独自性が出るかとか、自営なのか会社員なのかとか、そんなことはきっと、表層的な結果でしかありません。(森田マイコ)
今回のゲスト
佐藤 稜馬(さとう りょうま)さん
ライフスタイルスポーツライター
INSTAGRAM @jjjryoma
1992年、茅ヶ崎生まれ。サーフィン歴25年。
5年ほど営業マンを経験したあと、地元茅ヶ崎に帰る。
以来、雑誌やWebで波乗りやアクションスポーツの魅力を伝えている。
夏季は茅ヶ崎の海でサーフスクールを主宰している。