【鎌倉FM 第87回】「暮らし」から汲み上げる力

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& Column
「暮らし」から汲み上げる力

今回のゲスト 小島玲香さんは、前回登場いただいた平岡雅史さん(株式会社きずなや代表)が展開する「絆家シェアハウス 茅ヶ崎・湘南」の入居者です。実は小島さん、絆家のシェアハウスに住むのは2回目。最初に住んだ江ノ島のアーティスト向けのシェアハウスで、それまで出会ったことのなかった、自分の思うがままに人生を歩む多様な人たちと出会いました。そこで暮らした5年半を経て、30歳を機に自分が行きたい道を行こうと、会社を辞め宮古島に移住。シェアハウスに住んだ経験を生かし、島で自らシェアハウスを立ち上げたというパワフルな経歴の持ち主です。この時は「暮らしに比重を傾けたかった」のだと語っています。

その後、今後の生き方を考え、東京の会社に就職を決めて首都圏に戻った小島さん。東京で生まれ育った小島さんにとって、昔からの友人との交遊やキャリアの幅も広がる都会的な暮らしと、地域の人々や自然の中で生きる海辺のローカルな暮らしの両方を心地よいバランスで叶えてくれる、「湘南」エリアの絆家シェアハウスに再び居を据えました。

ところが東京のフル出社の会社に通ううちに、仕事は楽しいけれど、茅ヶ崎の暮らしをほとんど楽しめていないことに気づきます。今回はキャリアを優先して選択した道だったけれど、何かが違う。小島さんにとっては、「暮らし」も「キャリア」も両方を大事にできる生き方こそ歩みたい道。そこで湘南WorK.に相談し、リモート勤務の余地がある別の会社へ転職を果たしました。

数々の入居者の人生やその転機を見つめてきた絆家の平岡さんも、湘南に特化した人材紹介会社「湘南WorK.」代表の小室慶介さんも、異口同音にこう言っています。「暮らしを優先しつつも、仕事も諦めたくない人に、湘南はちょうどいい」と。明るい笑顔と発言が印象的な小島さんですが、自分が最もイキイキといられる「暮らし」と「キャリア」の心地よい結節点を模索した末に、現在のライフ&ワークスタイルに至っています。真っ直ぐではない道を歩むその姿は、もっと自分に正直に生きたいと試行錯誤する私たちの、一歩先を行く背中なのかもしれません。

小島さんの生き方から感じるのは、「暮らし」は人生の根っこであるということ。十分に根を張り、じっくりと養分を吸い上げることで、しなやかで丈夫な幹を育てていく木のように、私たちも日々の暮らしから生きる力や自分自身であるという実感をチャージできてこそ、高く伸び、大きく枝葉を茂らせることができるのではないでしょうか。

このように、「暮らし」と「仕事」は横に並んでいるものではなく、根と地上部のような関係なのかもしれません。だとすると、小島さんのように、まずは自分の生命力をしっかりとチャージしてくれる「暮らし」を確保した上で、自分が社会に提供できる価値として「仕事」をつくって行くのが自然な在り様にも思えてきます。

ゆくゆくは独立し、培ったスキルを生かして仕事を受託しつつ、オフィスワークだけでなくシェアハウスの運営支援や地域コミュニティに関わることも仕事にしていきたいと語る小島さん。彼女にとっての「働く」とは、「居場所」だそうです。

その言葉を聞いていると、暮らしという根から汲み上げたものが、仕事という幹を通じて、再び自分の暮らす場所や人とのつながりへと還っていくようにも思えます。仕事はただ生活を支えるためだけにあるのではなく、自分が根を張る場所と関わり、そこに働きかけていくための腐葉土を作る葉っぱにもなり得るのでしょう。

そして「根を張る」とは、「そこに生涯居続ける」ことと、必ずしも同義でなくていいのかもしれません。いまの自分が心地いいと思える場所で、環境に前向きに働きかけながら、日々の自分に養分を与えてくれる土を耕し、少しずつ根を伸ばしてみる。自分の暮らしが根っこをすこやかに養えているか、そこから伸びていく仕事や人との関わりが、自分らしい枝葉を広げられているか。そんなふうに確かめながら生きてみると、世界が今までとは異なる指標で見えてくるかもしれません。

価値観を同じくする仲間と根っこを養い合いながら暮らすうちに、小島さんはなんと茅ヶ崎のシェアハウスで結婚相手にも巡り会えたそうです。さりげなく間を取り持ってくれたのも、入居者の1人だとか。他人以上肉親未満の「絆」で結ばれた人々との「家」は、小島さんがそろそろもう一回り大きな器で生き始めるための準備を整えてくれたようです。
(角 舞子)

今回のゲスト

小島 玲香(こじま れいか)さん

東京都出身。
大学時代にオーストラリアへ1年間留学し、卒業後は物流会社に4年間勤務。
湘南・江ノ島のアーティストシェアハウスで多様な生き方に触れたことをきっかけに、30歳を機に会社員を辞めて宮古島へ移住。離島専門企業でゲストハウスやシェアハウスの立ち上げ・運営に携わる。

現在は茅ヶ崎在住。
湘南WorK.で転職をサポートしたSaaS企業のセールスマネージャーとして働きながら、「絆家シェアハウス 茅ヶ崎・湘南」で再びシェアハウス暮らしを実践。
カメラやライティング、レタリングにも関心を持ち、自分なりの表現方法を模索している。

ナビゲーター

(左)小室 慶介/(中央)こまつあかり

こまつあかり
岩手県出身、鎌倉在住。
ナローキャスター/ローカルコーディネーター
地域のなかにあるあらゆる声を必要な人に伝え、多様なチカラを重ね合わせながら、居心地の良い「ことづくり」をしている。
Instagram @komatsu.akari
@kamakura_coworking_house @fukasawa.ichibi @moshikama.fm828 @shigototen
湘南WorK.の冠番組である鎌倉FM「湘南LIFE&WORK」のパーソナリティを務め「湘南での豊かな暮らしと働き方」をテーマに発信。多様性を大切にした働き方、それが当たり前の社会になること。その実現へ向けて共創中。

小室 慶介(こむろ けいすけ) 
湘南鵠沼育ち、現在は辻堂在住(辻堂海浜公園の近く)。
長く東京へ通勤するスタイルでサラリーマンを経験。大手スポーツ関連サービス企業にて、事業戦略を中心に異業種とのアライアンススキーム構築を重ねるものの「通勤電車って時間の無駄だよな」という想いがある日爆発し、35歳で独立。幼い頃から「自分のスタイルを持った湘南の大人たち」に触れて育った影響か、自分自身で人生をグリップするしなやかな生き方・働き方を模索し始め「湘南WorK.」を立ち上げる。相談者が大切にしていることを引き出しながら、妥協のないお仕事探しに伴走するキャリアコンサルタント。

河野 竜二(こうの りゅうじ) 
神奈川県出身、湘南在住。
教育業界10年間のキャリアで約2,000人の就職支援に関わり、独立。キャリアコンサルタントとして活動する。それと同時に、”大人のヨリミチ提案”がコンセプトの企画団体「LIFE DESIGN VILLAGE」のプロデュースや、日本最大級の環境イベント「アースデイ東京」の事務局など多岐にわたって活動する。湘南が誇るパラレルワーカー。

この記事を書いた人

文筆家。2007年~2018年まで鎌倉に暮らし、湘南エリアの人々と広く交流。
現在は軽井沢に住み、新しい働き方・暮らし方を自ら探求しつつ、サステナビリティやウェルビーイングの分野を中心に執筆活動を行っている。

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