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& Column
これからの「暮らす・働く」の基本形
2022年に湘南で株式会社オケアノースを立ち上げ独立した宇都宮一馬さんの、キャリアと働き方、暮らし方に、これからの私たちの基本形を見た気がします。
キャリア選択においては、社会人になる前のアルバイトで得た「雇われて他人の指示のもとで働くことは、自分にとっては非常に苦痛で難しいことなんだ」という自己発見が起点になっていることに注目。ここで社会を基準にして自己否定に陥るのではなく、自分の性質を活かす道を模索していった宇都宮さんの歩み方に示唆があります。
そこから最も好きだった「ものづくり」を軸に、プロとして社会の中で価値を生むために必要な2つのスキル、プロジェクトマネジメント力と実際に手を動かしてゼロから完成まで作る技術力を、大手メーカーと中小メーカーで身に付けたことも良い歩み。会社員の日々は宇都宮さんにとって辛い時間でもありましたが、自分が得たいもののために目標を持っていたから頑張れました。
1つのパッケージとして完結・提供できるスキルが身に付いた後、新天地を定めるにあたって宇都宮さんが重要視したのは、大好きなサーフィンができる海辺で、新参者でも人間関係を構築して行きやすい所という条件。自分にとって心地良く生きられる場所、かつビジネスの広がりがつくれそうな場所かどうかを、サーフボードと共に日本縦断の旅をしながら体でリアルに実感して決めたのもポイントです。
起業後は、培ってきた「ものづくりを実現する力」を使って、生活に必要な経済と他者貢献、そして自己実現のバランスを図りながら、クライアントワークと自社事業を組み合わせて会社を運営しています。最初から計画していたのか、その時その時の自分に正直に選んでいった結果なのか。とにかく宇都宮さんの「暮らす・働く」スタイルは、今の時代に最も適応したスタンダードと言えるのではないでしょうか。
何になってもいいし、どこで暮らしてもいいし、どんな働き方をしても良い時代です。自己理解と自己肯定から出発し、自分の「好き」に「社会的価値」を持たせるための経験とポータブルなスキルを身に付ける。その後、独立して健康的に暮らせる環境に肉体を置き、価値観や気の合う仲間とリモート主体でつながりながらジョブ型で価値を提供しつつ、自分の大切なことにエネルギーと時間を費やし自己実現を果たしていく。とても理想的な、そして誰もが実現可能な命の使い方だと思います。
「毎朝ワクワクして目を覚ます」ほど自己一致し、「暮らす」と「働く」が融合しているという宇都宮さん。それはそもそも異なる二つの営みではなく、宇都宮さんの生命の営みそのものが好循環している表れのように見えます。(森田マイコ)
今回のゲスト
宇都宮 一馬(うつのみや かずま)さん
株式会社オケアノース 共同代表
本田技研工業株式会社に入社し、設計に従事する日々を過ごしたのち、ある旅をきっかけに、鎌倉に移住。
いくつかのキャリアを経て、株式会社オケアノースを共同設立。