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& Column
「聴き合う」から生まれる循環
「無意識」というものが、個人に属するものではなく、全ての人々の存在の奥底に横たわりつながっているものだとしたら? 大海の水と、そこに波立つ波、あるいは一滴の水との関係にも喩えられる、「個人である」という意識と「みんな一つである」という意識。甘利さんの会社が提供する社外人材によるオンライン1on1サービス「YeLL」にログインし、画面をオフした状態で、向こう側にいるクライアントの心の声にただただ聴き入る時、それは他ならぬ「もう一人の私自身」の声に耳を澄ませているのかもしれません。
Without judgmentの「聴いてもらう」体験が生み出すのは、話し手となった人の「変容」です。安心感、自他への信頼、そこから続く気づきと自己理解、俯瞰する視野の獲得、捉え方の変化、そして話し手は最終的に現状を打破し前に進む力を得て、エネルギーが循環し始めます。このプロセスは「癒し」にも似ています。本質を知る多くの治療家が「私が癒すのではない、その人自身が自ら癒える力を発動するのだ」と言います。うまく流すことができずに溜め込んで重く凝固しそうになっていたエネルギーが、全受容の出口を得たことで流れ出し、吐き出されるうちにいつしか濁りが無くなって純化されていく。外に向けていた不満の本体が、本当は自分の中にあった、「感情」という水の震えや滞りや濁りであったことに気がつけば、あとはもう自ずと問題は消滅していきます。そして見えてくるのは、大海の中の一滴である自分自身。さらにはあなたも私も、みんながそうである、ということ。ではその私は、どのような色と役割を持った一滴であるのか、それを全うしようと思えてくるのです。一人一人の自立と全体の調和が両立する世界がそこから始まっていきます。
日本の少子高齢化は極まり、これから労働人口減少の影響が実社会に顕現してくる時代になります。「労働供給制約社会」と呼ばれる、エッセンシャルワーカーさえも足りない時代に、私たちの心身の健やかさやレジリエンスを支えるのは「隣人が隣人を癒す社会」かもしれません。「YeLL」は、そんな新しい社会の豊かさの訪れを告げているようです。甘利さんにとっての「働く」とは「楽しむための手段」。その言葉は、「物理的に満たされた生活をするための経済的手段」という意味以上に、まるでスポーツや芸術活動を楽しむようにエネルギーが健全に循環している生命の営みの様を指し示しているように思えるのです。(森田マイコ)
今回のゲスト
甘利 友紀(あまり ゆき)さん
湘南は鵠沼出身。
「聴き合う組織をつくる」社外人材によるオンライン1on1サービスを提供しているエール株式会社にて人事領域から営業領域に至るまで、様々な要所を支えているビジネスパーソン。
業務委託として複数企業に携わるJob型ワーカーでもあり「能動的に働く」を実践している。