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& Column
自分が主役を生きる時代の雇用の形
今こそ、人事や労務の手腕が問われる時代ではないでしょうか。働き手の多様性の求め方と、受け入れる雇用側との間に、現時点では大きなギャップが存在しているようです。終身雇用制はとうに崩壊し、給与が毎年ぐんぐん上がっていくことで誰もが豊かさを感じられた、つまり幸福の形が一つだった時代は終わっています。個人の価値観は多様化しており、そのすべての幸福の実現を一つの企業が保証することは困難です。先の見えない時代の中で、リスクを軽減しつつ自分らしい人生を生きるために、社会との関わり方を多層的に、そしてこまめに調整しながらアジャストさせていきたい働き手に対して、活躍の舞台の一つとなる企業の方がアップデートの速度を上げていく必要があるのかもしれません。
給与よりも時間がほしい。そんな価値観で生きる人々も増えてきた今、組織や企業はフルタイム勤務の正社員しか雇用しないと決めることで、何を守ろうとしているのでしょうか? あるいは何を失うことを恐れているのでしょうか? そしてそれは、本当に真実なのでしょうか。会社の中の一部の職種や部署、プロジェクトから変革してみるなど、トライできることはあるはずです。働き手と雇用側が互いにフィットする形を求めて「変わり続けていく」ことこそ、自然界の共存共生と同様に、動的平衡を保ちながら互いの持続可能性を高めていくことにつながるように思います。
上條さんにとっての「働く」は「栄養を摂ること」と同義とのこと。互いにビタミンやタンパク質であると感じられる労使関係とは、なんとうるおいのある姿でしょう。それは搾取しない・されない、互いに満たされたカップを差し出し合える関係であり、エネルギーを与え合える関係であり、「縦」ではなく「横」の関係とも見ることができます。会社の理念と個人の生き方の信念を同等に尊重できるかどうか。互いに自立し、求めるものを分かり合った上で、可能性を細分化してパズルの接合部を生き物のように変化しやすい有機的なものにしていくこと。「ダイバーシティ&インクルージョン」と盛んに言われていますが、それは女性活躍とか多様な国籍・タレントの雇用という意味に留まらず、誰もが変化し続けることが前提の人生のあらゆるステージにおいて安心して働ける柔軟な器をいかに設計し、改善しながら運用できるかどうかも問われているように思います。「新時代の労働環境というサービス」を企業がクリエイトし提供していく、その担い手が人事や労務なのだろうと思うのです。(森田マイコ)
今回のゲスト
上條 亜美(かみじょう あみ)さん
ウェブデザイナー / 茅ヶ崎子ども英語教室 そらうみKIDZ主宰
慶應義塾大学理工学部出身、日本IBMにてITエンジニアを経験。
その後、シンガポールに5年強在住し、事業立ち上げ経験を持つ。
現在、茅ヶ崎で子ども向け英語教室を運営しながら、オンラインイベントのプラットフォーム事業を営む株式会社オウルリンクスで業務委託として従事。
同時に個人のウェブデザイナーとして様々なサービスのHP制作等を制作・運営するなど、
場所を問わないフレキシブルでJob型の働き方を実践。
そらうみKIDZ ▶ https://www.soraumikidz.com/
個人のinstagram ▶ https://www.instagram.com/ami_kamijo/