【コラム -湘南days- 】人生のスコレー

スコレーとは、精神活動や自己充実にあてることのできる前向きな意味をもった時間のことで、スクールの語源にもなっている古代ギリシャ語だそうです。こんな素敵なことばを知ったことも刺激になって、今年(2023年)は元日に「まとまった勉強をする」という1年の目標を立てました。「まとまった」と言っても、働きながらのことなのでたいしたことはできませんが、ここ数年は本業とは別に働き方や生き方を考えるワークショップやセミナーなどを積極的に開催してきたこともあって、増えたアウトプット量とのバランスをとるために意欲が枯渇する前に補給しておきたくなっていました。

何を学ぼうかと考えた時にいくつか候補はあったのですが、今年はアドラー心理学を学ぶことに。キャリアコンサルタント仲間に教えてもらったのですが、アドラー心理学では幸せを感じる3条件の1つを「他者貢献」としていることに興味をひかれたのが動機です(ちなみに他2つは「自己受容」「他者信頼」)。丁度、新年度がはじまる4月1日から講座を受け始めました。

少し話は変わりますが、就職活動をはじめるタイミングで学生が口にする「やりたいことがみつかり(わかり)ません」というセリフを時々耳にします。こうした悩みに対して、立教大学経営学部の中原淳先生は、少し問いをずらしてあげることを提案しています。
たとえば
「あなたは、自分の仕事を通して、誰を助けたいと思いますか?」
「あなたは、自分の仕事を通して、誰をハッピーにしたいですか?」
こんな感じです。

さらに中原先生は、森鴎外がシゴトを「仕事」ではなく「為事」と書いたことを引き合いに出して、誰かの「為」にする「事」、仕事の先にあるものをイメージすることで、自分のやりたい仕事について考えてみることを進めています。

「他者貢献」や「誰かの為に」と言うと、なにやら自己犠牲的な気配が漂いがちですが、初回の講座でナイチンゲールの残したこんな言葉も教わりました。「自己犠牲なき献身こそ真の奉仕」。難解とも言われることがあるアドラー心理学ですが、100年人生の豊かな生き方、働き方を試行錯誤していくときの足掛かりの一つとして学んでみようと思います。100年人生のスコレーを意識しながら。

この記事を書いた人

宮城県出身。妻と高校生の娘、柴犬1匹と鎌倉に暮らすキャリア・コンサルタント。ライト・キャリア・ガーデン代表。本業は大学職員。

大学卒業後、CATV放送局で地域情報番組の制作に5年間従事。その後、大学事務局へ転職。配属された部署で就職支援業務に携わったのをきっかけにキャリア支援のシゴトにはまる。50歳を迎える頃、それまでの生活で「やりがい」「働きがい」を職場に依存した人生だったことに気づく。現在はプライベートな時間をつかって、ライフ・キャリアデザインを支援する仕組みづくり、場づくりを目指して地域でパラレルキャリアを実践中。

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