【コラム -湘南days- 】シゴトを通じた自己実現の行方

年齢にかかわらず、日本では転職率が上昇している
よいことなのか、そうじゃないのか、ジャッジは後にとっておくことにして
ある転職情報会社の調査結果は次のとおり

【転職理由】

  1. 給与が低かった
  2. 仕事内容に不満があった
  3. 職場の人間関係が悪かった

【転職先決定理由】

  1. 給与がよい
  2. 希望の勤務地である
  3. 休日や残業時間が適正

それぞれ上位3位までの抜粋を見て 「あれっ???」 と思う
理由の2位「仕事内容に不満があった」 に対して
転職先決定理由に「求める仕事内容だった」 が見当たらない
4位:福利厚生、5位:会社の将来性、6位:転勤がない
ここにもでてこない

「仕事内容に不満があった」 に込められた思いを想像する
やりたい仕事じゃない、自分の力を発揮できない、などだろうか
だとすると 「やりたいことを実現する仕事に就く」 のは難しかったという結果か

そこで頭に浮かぶのが、マズローさんという学者の 「5段階欲求説」

1段階:生存欲求(食欲、睡眠欲などを満たしたい)
2段階:安全欲求(安心して過ごしたい)
3段階:所属欲求(孤立したくない、仲間といたい)
4段階:承認欲求(価値ある存在として認められたい)
5段階:自己実現欲求(可能性を最大限に発揮し、実現したい)

下位の欲求が満たされると次の段階の欲求を求めるようになるという説

これをこれまでの日本的就業観で見てみると
仕事に就くことで収入を得る(1、2段階達成)
組織や業界の中で成果を出す(3、4段階達成)
終身雇用や年功序列のもとで総合職「配属ガチャ」が当たり前だった日本
自己実現は、組織や業界の中で達成を目指す 「4.5段階」 だった?

自分のキャリアは主体的に自らの意思で形成していく 「キャリア自律」
終身雇用や年功序列が当たり前じゃなくなって求められるようになった考え方
4.5じゃない5段階目としての自己実現は仕事を通じて達成できるのか?

その問いへのリアクションが転職なのかもしれない
1.よい給与、2.希望の勤務地、3.休日や残業時間が適正
これらの環境を確保して「キャリア自律」 に取り組む
自己実現の達成は確保した環境のもとで目指す

仕事(組織などに仕えるコト)
為事(自分の価値観などに基づいて取り組むコト)
志事(人生の目的に深く結び付いた満足感と社会への貢献感を得られるコト)

転職成功の鍵は、シゴトを通じた自己実現の達成を思い描けているかどうか

この記事を書いた人

宮城県出身
鎌倉市在住のキャリアコンサルタント。ライト・キャリア・ガーデン(任意団体)代表、本業は大学職員。

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