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& Column
人生に軸を通すための「志す力」
未来を担う次世代が、それぞれにコミットしたい社会課題を探究し、その解決を仕事にして自分らしく輝きながら生きることで、社会全体が良くなっていく。齋藤克希さんの活動の先に待っているのは、多様な個性と社会システムが互いに互いを生かし合う、そんな新しい世界なのかもしれません。
生き方は一つしかないと思っていた4年前の自分から、苦しみ迷いながらも実践を積み重ねる日々を通して、自由自在な人生の選択肢を持った自分へと変貌を遂げた齋藤さん。何事にも飽きやすいという齋藤さんがこの期間に継続してきた実践とは「挑戦を続ける」ことだったと言います。なんとなく会社員にならなきゃいけないような気がして新卒で入社した会社を迷った末に辞め、辞めてからも自分は何がしたいのかに迷い、生まれ育った稲村ヶ崎のビーチが環境や気候の変化によって消えてしまったという、自分事として感じざるを得ない課題を手掛かりに、足元の海ゴミを拾うことから始めた齋藤さんの活動。そこで海ゴミを拾っている同世代がいないという新たな課題に気づき、発信して仲間を募ることへ発展し、小さな活動が少しずつ大きくなり、また別の新しい課題が自分の前にやって来る…その出来事の一つ一つが齋藤さんの「挑戦」に他なりません。
それはある所までは無我夢中で打つ「点」の連続だったのかもしれませんが、挑戦を重ねていくうちに、やがて齋藤さんはそれらを貫く一本の「軸」を見出します。それが「若者たちが輝くステージをつくる」という夢。学生時代の最後に1ヶ月間身を置いたニューヨークのレストランで、ブロードウェイを目指す人々の輝きに触れて「自分に足りないのは夢と目標だ」と気づいたあの日から数年後、もがき続けたからこそ掴むことができた、自分のエネルギーに方向性を与えるもの。夢と目標、つまりは「志」を得ることができた齋藤さんの人生からは迷いの足枷が消え、前進するスピードがぐんと加速したようです。
そんな齋藤さんの「働く」は、会社員時代の「何かに仕える」仕事から、「志を実現する」仕事(志事)へと捉え方が大きく進化しました。「今は何をするのも自由。学ぶのも、何を仕事にするのかも、誰といたいかも、1日をどう過ごしたいかも、自分で決めて人生をつくり上げている」という、自分が自分の人生のクリエイターであるという実感を得ることができています。
自分の志を実現することが、社会を良くする仕事になる。これほど豊かな働き方はないでしょう。その志の打ち立て方は人それぞれ。コンセプチュアルに最初から設定して活動を始める人もいるかもしれませんが、齋藤さんのように自分と向き合いもがきながら、コンフォートゾーンに無難に留まり続けようとする自分の「怖さ」を一歩でも超えていこうとする挑戦をし続ける中で、後から「志」の輪郭がはっきりしてくる人も多いのではないでしょうか。まるでカメラのピントが合う瞬間のように。
自分の人生に軸を通す「夢や目標」「志」に出会えたなら、乗るべき波は自ずとやってきます。その自分の波を待っている「波待ち」の時間は、人より長くても、苦しくても、思い返せばきっと愛おしい、自分が自分のために掛けてあげた大切な時間です。(森田マイコ)
今回のゲスト
齋藤 克希(さいとう かつき)さん
一般社団法人サスティナブル推進協会NAMIMATI 代表理事
日本外国語専門学校卒業後、高級アパレルブランドに就職。
社会課題への関心から退職し、2022年に任意団体NAMIMATIを立ち上げ。
2022年6月に、一般社団法人サスティナブル推進協会NAMIMATIへと名称を変え、代表理事に就任。