【鎌倉FM 第59回】成長し合う人財と組織が生み出す動力

ラジオ収録 前半

ラジオ収録 後半

& Column
成長し合う人財と組織が生み出す動力

今回の日本航空株式会社 人財本部の関剛彦さんと山内昌平さんのお話で驚かされたことの一つは、これほどの大企業の隅々にまで「利他主義」が浸透していることでした。SDGsやESG経営がスタンダードになる前からJALは「お客様に最高のサービスを提供」し「社会の進歩発展に貢献する」ことが企業理念の中に掲げられ、その大前提として、「全社員の物心両面の幸福を追求」する会社であることを謳っています。自分自身が満たされてこそ人にも社会にも優しくなれるという真実を踏まえ、社員一人一人を「財=宝」だとして、イキイキと働けているかに心を配る。そのような文化や精神を、組織のサイズに関わらずぜひ取り入れたいものです。コロナ禍で苦境を余儀なくされた航空業界にあって、その厳しさを乗り越えることができたのは、それまで満たされ大事にされてきたと実感している社員たちがそれぞれの持ち場で発揮した、工夫やアクションがあったから。社員のエンゲージメントの土台は「実感できる幸福度」であり、この「働く人の幸せ」がこれからの企業の成長力の源泉でもあるのではないかと思います。

人や物を運ぶ事業から、サステナブルな社会を実現するための事業へ、JALの企業活動も進化していこうとしています。公募制や立候補制の新たな人事の仕組みも取り入れながら、企業として必要なクォリティと社員の実力を擦り合わせていくきめ細かな対話を行う一方で、新たな事業を開拓し挑戦していくための、これまで社内にいなかったような人財との出会いやそうした人々にフィットする働き方の提供については、組織としても日々模索中だというお二人。社員の側も組織の側も、対話・成長・模索・挑戦を互いに行い続けることで、社員一人一人のさらなる幸福と組織の進化、そして今まで以上に社会に貢献する豊かな事業が生み出されることになりそうです。

若手の山内さんにとっての「働く」とは、「社会の一員として誰かを便利に快適に豊かにするために自分を表現する場」。関さんにとっては「自身が成長すること。その結果、社会のために一つでも役に立てたら幸せ」とのこと。お二人の言葉の背後にある、自己表現や自身の成長がそのまま社会の幸福度を高めることにつながっているという、社会と自分との関係性の捉え方に、私は胸打たれます。この企業に磨かれ培われた「利他の心」、その精神のすこやかさと透明感を感じずにはいられないのです。(森田マイコ)

今回のゲスト

関 剛彦(せき たけひこ)さん

日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部人財戦略グループ グループ長

2003年に日本航空株式会社に入社後、運航管理部門に所属。
2014年より人事業務に従事し、
異動配置、人事評価、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方改革、ビジネスと人権など幅広く担当。

山内 昌平(やまうち しょうへい)さん

日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部人財戦略グループ アシスタントマネージャー

ワーケーションなど、新しい働き方に対する取り組みを担当。

ナビゲーター

(左)小室 慶介/(中央)こまつあかり/(右)河野 竜二

こまつあかり
岩手県出身、鎌倉在住。
ナローキャスター/ローカルコーディネーター
地域のなかにあるあらゆる声を必要な人に伝え、多様なチカラを重ね合わせながら、居心地の良い「ことづくり」をしている。
Instagram @komatsu.akari
@kamakura_coworking_house @fukasawa.ichibi @moshikama.fm828 @shigototen
湘南WorK.の冠番組である鎌倉FM「湘南LIFE&WORK」のパーソナリティを務め「湘南での豊かな暮らしと働き方」をテーマに発信。多様性を大切にした働き方、それが当たり前の社会になること。その実現へ向けて共創中。

小室 慶介(こむろ けいすけ) 
湘南鵠沼育ち、現在は辻堂在住(辻堂海浜公園の近く)。
長く東京へ通勤するスタイルでサラリーマンを経験。大手スポーツ関連サービス企業にて、事業戦略を中心に異業種とのアライアンススキーム構築を重ねるものの「通勤電車って時間の無駄だよな」という想いがある日爆発し、35歳で独立。幼い頃から「自分のスタイルを持った湘南の大人たち」に触れて育った影響か、自分自身で人生をグリップするしなやかな生き方・働き方を模索し始め「湘南WorK.」を立ち上げる。相談者が大切にしていることを引き出しながら、妥協のないお仕事探しに伴走するキャリアコンサルタント。

河野 竜二(こうの りゅうじ) 
神奈川県出身、湘南在住。
教育業界10年間のキャリアで約2,000人の就職支援に関わり、独立。キャリアコンサルタントとして活動する。それと同時に、”大人のヨリミチ提案”がコンセプトの企画団体「LIFE DESIGN VILLAGE」のプロデュースや、日本最大級の環境イベント「アースデイ東京」の事務局など多岐にわたって活動する。湘南が誇るパラレルワーカー。

この記事を書いた人

文筆家。2007年~2018年まで鎌倉に暮らし、湘南エリアの人々と広く交流。
現在は軽井沢に住み、新しい働き方・暮らし方を自ら探求しつつ、サステナビリティやウェルビーイングの分野を中心に執筆活動を行っている。

森田マイコの記事一覧