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& Column
成長し合う人財と組織が生み出す動力
今回の日本航空株式会社 人財本部の関剛彦さんと山内昌平さんのお話で驚かされたことの一つは、これほどの大企業の隅々にまで「利他主義」が浸透していることでした。SDGsやESG経営がスタンダードになる前からJALは「お客様に最高のサービスを提供」し「社会の進歩発展に貢献する」ことが企業理念の中に掲げられ、その大前提として、「全社員の物心両面の幸福を追求」する会社であることを謳っています。自分自身が満たされてこそ人にも社会にも優しくなれるという真実を踏まえ、社員一人一人を「財=宝」だとして、イキイキと働けているかに心を配る。そのような文化や精神を、組織のサイズに関わらずぜひ取り入れたいものです。コロナ禍で苦境を余儀なくされた航空業界にあって、その厳しさを乗り越えることができたのは、それまで満たされ大事にされてきたと実感している社員たちがそれぞれの持ち場で発揮した、工夫やアクションがあったから。社員のエンゲージメントの土台は「実感できる幸福度」であり、この「働く人の幸せ」がこれからの企業の成長力の源泉でもあるのではないかと思います。
人や物を運ぶ事業から、サステナブルな社会を実現するための事業へ、JALの企業活動も進化していこうとしています。公募制や立候補制の新たな人事の仕組みも取り入れながら、企業として必要なクォリティと社員の実力を擦り合わせていくきめ細かな対話を行う一方で、新たな事業を開拓し挑戦していくための、これまで社内にいなかったような人財との出会いやそうした人々にフィットする働き方の提供については、組織としても日々模索中だというお二人。社員の側も組織の側も、対話・成長・模索・挑戦を互いに行い続けることで、社員一人一人のさらなる幸福と組織の進化、そして今まで以上に社会に貢献する豊かな事業が生み出されることになりそうです。
若手の山内さんにとっての「働く」とは、「社会の一員として誰かを便利に快適に豊かにするために自分を表現する場」。関さんにとっては「自身が成長すること。その結果、社会のために一つでも役に立てたら幸せ」とのこと。お二人の言葉の背後にある、自己表現や自身の成長がそのまま社会の幸福度を高めることにつながっているという、社会と自分との関係性の捉え方に、私は胸打たれます。この企業に磨かれ培われた「利他の心」、その精神のすこやかさと透明感を感じずにはいられないのです。(森田マイコ)
今回のゲスト
関 剛彦(せき たけひこ)さん
日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部人財戦略グループ グループ長
2003年に日本航空株式会社に入社後、運航管理部門に所属。
2014年より人事業務に従事し、
異動配置、人事評価、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方改革、ビジネスと人権など幅広く担当。
山内 昌平(やまうち しょうへい)さん
日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部人財戦略グループ アシスタントマネージャー
ワーケーションなど、新しい働き方に対する取り組みを担当。