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& Column
二極化していく時代の「意志」の力
「生きる・働く」を考えるにあたって、あなたはもう「自分の北極星」を見つけていますか? 近年、ビジネスパーソンの間で「パーパス」と呼ばれているものに近いかもしれません。言い換えるなら「自分の生きる目的」です。天職とか適職よりもさらに上位にある、自分を動かす理由。
それが自分の天頂にあった上で、地球や社会に参加しているメンバーとしてどのように貢献するのか。今いる場所や環境下で、それができそうなのか。自分自身がコントロールできる範囲が十分にあるのか。時間、場所、人間関係、仕事の進め方、評価や報酬…どこに理想と異なる問題があるのか。それは許せるのか、許せないのか。改善できるのか、できないのか…その場合、自分は「どうしたい」のか?
AIやロボットが仕事仲間になっていく時代、「人間らしく働く」とは、自らの「自由意志」を働かせ、自身の心や肉体の健全性を尊重・確保した上で、仕事の目的に貢献し、成果を出すことに責任を持つということではないかと思います。つまりは、自分にとって「仕事とは何か?」、会社にとっては「何を仕事とするのか?」。今、改めて定める必要があるのは、就業規則の改編よりも先に、双方にとっての「仕事の定義」なのかもしれません。
「先が見えない不確定な時代」は、別の表現をするならば「自分の意志で生きたい人生・社会をつくっていく時代」とも言えます。どうなるか分からないのなら、どうしたいかを決めてつくっていく。その出発点は自分の「意志」です。そもそも、不確定な時代などと強調しなくても、もともと人生は不確定ですし、自分の意志でつくるものであったはず。しかし、経済的合理性第一主義やテクノロジーがもたらした便利さによって、「流されながら目をつむっていてもなんとなく生きていける」社会構造ができあがり、いつの間にか私たちはそれが人生だと思い込んでいるに過ぎません。
見える景色や自分を囲んでいるメンバーが「固定」されたままでいることの催眠的な危険性に、私たちは気づく必要があります。自分にとっての「世界」はそこでしか無くなるからです。世界を広げ、社会とつながり直すために、自宅と会社以外に第三の場所を持とうと言われますが、第四でも第五でも、私たちは本来、好きなだけ自由に場所や関係を持っていい。土を耕さずに生きられる時代になったということは、そういうことなのです。
一方で、その土地に根差し、毎日同じ場所で何かを育てたり、築き上げたりする方が安心して生きられる人もいます。時代がどれだけ変わろうとも、まず知るべきは、自分の本質や幸せを感じるポイント。つまりは自分の「北極星」です。日々のしがらみから自分を切り離し、「個」としての存在になって、こうした自分の大切な事柄に想いを巡らす時間を持つ意味でも、ワーケーションは適していると言えるでしょう。自己を見つめようとする時、そこには「鏡」が必要で、その鏡とは他者に他なりません。いつもの固定観念に歪んだ鏡ではなく、新たな、そして多様な鏡に自分を映してみることで真実が見えてきます。越境、アウェイ、コンフォートゾーンを飛び出し新たな環境・他者に触れてみること。その時、自分は何を感じ、どのようにふるまうのか。ワーケーションは自分を発見する場所でもありそうです。
今後、あらゆる分野や場面で二極化が進むと言われています。それは「風の人か、土の人か」「起業家か、会社員か」「AIをうまく使えるか、使えないか」などという表面的な話ではなく、本質的には「自分の意志で生きるか、流されて眠りながら生きるか」ということに帰着するのではないかと思います。今回のゲスト、服部さんの「働く」には、自身が両足でしっかりと踏みしめて立つ揺るぎない「意志」と、見上げる「北極星」がありました。どこに身を置こうとも、移動し続けようとも、服部さんにはそれがある。それこそが、正しく「自分勝手に生きる」ために、私たちが最初に着手すべき最も重要な「リスキリング」ではないでしょうか。(森田マイコ)
今回のゲスト
服部 謙一(はっとり けんいち)さん
株式会社スカラパートナーズ 共創事業部事業統括
関西大学政策創造学部卒業後、大手企業の営業企画職へ就職。
営業、企画、運営、新規事業まで幅広く経験し多くの実績を残した。
自身の力で「0→1」の新規事業を世の中に創出していきたい!という新たなキャリアを目指し、
2021年、現在の株式会社スカラパートナーズに入社。
そして入社1年後には、27歳の若さで共創事業部の事業責任者に昇格。
現在、法人向けワーケーションサービスを統括している。