【湘南FM第5回】湘南でやりたい事を仕事にするには?

5月13日にオンエアした第5回目のゲストは、湘南を拠点に、国内外で活躍する鎌倉生まれのフリーランス・フォトグラファー、高橋創平(たかはしそうへい)さん。アウトドアブランドの広告写真やアーティストのポートレートも手掛ける写真のプロでありながら、藤沢市を中心に「MARKESTA(マーケスタ)」という人気マーケットイベントを運営するなど、多面的に活動しています。そんな高橋さんに、フォトグラファーとして独り立ちするまでの経緯や、マーケスタを始めた理由などのお話を伺いました。

目次

祖父がくれた古いフィルムカメラを携えて

河野

写真は独学なんですよね?

小松

ええー?!

小室

そうなんですか!

高橋さん

もともと祖父がアマチュアカメラマンで、コンペで賞を獲ったりしている人で、10代の頃に60年代の古いフィルムカメラを突然くれて。当時からフィルムを大量に買って、撮りまくって練習して。ロタ島という小さな島がサイパンとグアムの間にあるんですが、その島に20歳の時に1人で3ヶ月滞在して、海や風景を撮るのにはまって。それがきっかけで、どんどんカメラにはまっていって、そのうち自分がカメラをやっているというのを知った人達が、結婚式やイベントの撮影を頼んでくれるようになって、仕事になっていったという感じです。

小松

へぇー。

やりたい事を仕事にする、自由と苦労

河野

創平くんはまさに、やりたいことを仕事に変えられているという意味では、一つのモデルケースになんじゃないかと思っているんですけど、やりたい事をするためのノウハウというか、コツみたいなものって、創平くん自身はどんなことを意識して今のスタイルを築き上げられたんですか?

高橋さん

やっぱり、やりたいことを仕事にするっていうのは、それなりの苦労もあるので、壁にぶち当たって諦めちゃったり、挫折する人は少なからずいると思うんですけど、今まで自分も何回も大変な時期とか、何回も「カメラやっぱり無理かなぁ」って思うこともあったんですけど、それでもやりたいと思ったので、ぶつかって、乗り越えてきたのが今の結果なのかなという感じですね。

高橋さん

あとは、やはり海外へ行くと、やりたい事をやっている人がすごく多いんですよ、それが仕事になっていたりして。わりと考え方が自由。例えば自分のオーストラリアの仲の良い友達は、週2仕事して週5休んでるんですよ。それでもすごく稼いでいて。何をやっているかと言うと、週2のマーケットでガッツリ稼いで、週5はサーフィンしたり。そんな人がすごく多くて。
 
自由な彼らを見て、もっと人って考え方も行動も自由であるべきなんじゃないかって気がついて、1つに絞る必要もないし、全部自由に、考え方を自由にすれば全部仕事になるなって。

小松

でも、気づけるポイントがいくつかあったんですよね? きっと。 海外へ行ったことで、日本を外側から見たりとか、自分の固定概念みたいなものに気づいたりとか。

高橋さん

ええ。

小松

あ、もっと自由でいいんだ、みたいな気づきがあったと思うんですけど、そういうポイントを、意識して自分で作るのも良いですね。

高橋さん

そうですね。

「自分の壁」の乗り越え方

高橋さん

自分の中でカメラと言うと大きく二つあって、作品を撮って販売するのと、商業カメラマンとしてオーダーがあって撮影するのと。やはりその作品撮りの時に、全然思ったような、自分が良いと思えるような写真が撮れない時もあります。何日も寝ずに撮影に挑んだりすることもありますし。あとはカメラの機材って高いので、お金が無くなっちゃってどうしようって時もありました。まあ、いろんな苦労はありますけど。

小室

自分が撮ったものを受け入れてもらえるかどうかの怖さってあるじゃないですか。最初の頃はやはりあったんですか?

高橋さん

ありましたねぇ。でも気づいたんです。自分が自信がないものって、絶対相手にも良くない。ちゃんと自分が自信を持って撮影に挑んで、自信を持って「良い写真が撮れましたよ」って言えば、相手も喜ぶ。どんなにビビる現場でも、「いや、自分は絶対できる」って。

小松

いやぁ、今の言葉は刺さりましたね。

小室

分かります、僕らもそうです。良い企業に、良い人を紹介したいというのも、やはり自信がないとできないことだから。

小松

実際、企業さんに会いに行くんですもんね、湘南WorK.では。

小室

そうですね。僕らがそこで働きたいなと思う企業じゃないと紹介しないことにしているんです。

高橋さん

僕は個人事業主ですが、大企業から依頼があってビビっていても、絶対「できます」って答えて、その日までに、自信をつけるために勉強したり、準備して挑みます。

河野

サーフィンも少し近いところがありますよね。

高橋さん

ありますね。

河野

でっかい波に挑む時。

小室

ダメかなダメかな、って思うと乗れない(笑)

河野

躊躇してたらもう巻かれる、みたいな。そこでもう勢いと自信みたいなものがないと、乗れないじゃないですか。そういう所って、なんか似てるような気がするね。

高橋さん

似てるかもしれない。

河野

心の持ちよう一つかもしれない。

小室

入る前の準備もそうだし。二日酔いの時、ダメですもんね。

小松

(笑)

河野

そうね、まずメンタルですよね。

小室

確かに。

「マーケスタの仕掛け人」という、もう一つの顔

河野

今、カメラだけじゃなくて、多面的にイベント系の動きも最近すごく活発ですよね。

高橋さん

「MARKESTA(マーケスタ)」というマーケットイベントですね。仕事としてはフォトグラファーがメインなんですが、イベントはマーケットイベントをオーガナイズしていて、地域活性につながったり。
 
固定した場所ではなく「ノマドマーケット」っていって、いろんな所に呼ばれればそこへ行って盛り上げますよ、というコンセプトでやってるんです。例えばそこの土地のアーティストと出店者を集めて、東京からもふだん湘南に来ないような人達も呼んで、一緒にMIXして盛り上がったら、つながりもできるし。東京に行かない人達も楽しめるし、東京の人達も湘南を楽しめる。

小室

もともとそういうことをやりたかったんですか?

高橋さん

もともとは自分が20代後半にオーストラリアやニュージーランドに長期で行っていて、その辺りって結構マーケットが盛んで、土地土地でマーケットの色が違っていて、これは日本に無い文化だし、日本に帰って自分達でやれたら面白いだろうなと。それで始めたのがきっかけなんです。

海、カルチャー、東京、情報にアクセスしやすい湘南

河野

地元の鎌倉とか湘南の土地を活動の拠点にしていることについて、どういう思いや、どういう事をやりたい、というのはあるんですか?

小室

海外でインスピレーションもらって、でも今、基軸にしているのが湘南エリアで、写真もそうだし、コミュニティもそうだし。確かに、「それを湘南で」っていう所を聞きたいですね。

高橋さん

まず一つは、生まれ育った土地だから、というのはあります。もう一つは、湘南は他の地域に比べて文化・カルチャーがすごく濃くて、かつ海が近くにあって、東京も近くにある、という部分で、いろんなジャンルで働きやすい場所であるかもしれないですね。自分が情報を発信するのも楽だし、カルチャーも自分が染み込ませることもできるし、情報収集することも簡単だし。そういう理由でやっぱりここがいいかなっていうのはありますね。

小室

今お話を聞いて、「これじゃなきゃいけない」っていう人が揃ってないエリアじゃないかなと思うんですよね。結果、僕も、河野さんも、あかりさんもそうなのかもしれないけど。創平くんだったら「カメラ」とか「人を結びつける力」とか、何か自分の好きなことを強みに変えて、それを軸に自由な生き方・働き方をするっていう人が集まる場所なのかもしれないですよね、湘南て。

河野

マーケスタもいろんな仲間と一緒にやっているんですよね?

高橋さん

そうですね、マーケスタはもともとは自分が発起人で始めたんですけど、そのもともと出店してくれてた人と、デザイナーと3人で主軸になってやっていて、それぞれアイデアを出し合って、話し合って作り上げていますね。

河野

そういうそれぞれの強みがある個人個人が集まってコラボレーションすることによって、他には無い「マーケスタ」っていうイベントが出来上がったっていうのは、一つの成功事例になりうるのかなと思う。そういう連携が自然とできるのが、このエリアの魅力なのかなという気がしますね。

高橋さん

そうですね。つながりやすいというか。

「好きな事」の掛け合わせが、自然と「ユニークな強み」に

小室

河野さんもそうなんですけど、「好きな事を掛け合わせる」っていうのが、意識していることなんですよね、今まで。何か1本でそこで勝負というよりは、これとこれを掛け合わせたら、ものすごく唯一の特徴になるんだということを意識しているんですけど。しかもそれを、体験して得られた価値観から、ナチュラルにやっているから、良い形になっているのかなと思いました。
 
だから「湘南で好きな事を何かやるぞ!」という人は、なんかその掛け合わせというか、ご自身の中にある体験に基づく、実はそこに、自分の足元っていうか、灯台下暗しで、そういうものが落ちてるのかもしれない。あとはそれを結びつけるっていうこと。それをナチュラルに形にされているのが、高橋創平さんなのかなと思いました。

小松

何か探そうと思って探したわけじゃなくて、気づいたらあった、っていうね。

高橋さん

そうですね。

今回のゲスト

高橋創平(たかはしそうへい)さん

鎌倉生まれ。10代の頃にカメラマンだった祖父の影響で写真を始め、 身近にあった鎌倉の海、山などを撮る。20歳の時、アナログカメラと大量のフィルムと共にロタ島に滞在、自然と共存する喜びを写す事を学ぶ。以来、人の心に灯される温かいあかりのような写真をテーマに国内外問わず活躍。カフェやギャラリーでの個展も行う傍ら、藤沢市を中心としたマーケットイベント「MARKESTA(マーケスタ)」のオーガナイザーとしても活動している。

 ▼高橋創平オフィシャルサイト
http://www.soheitakahashi.com

「MARKESTA」

厳選されたショップが集まるノマド的なマーケットイベント。藤沢市の「らんぶる商店街」を中心に過去すでに10回以上開催され、次第に規模も拡大し盛り上がりを見せている。
https://www.instagram.com/markesta_market/?hl=ja

ナビゲーター

(左)小室 慶介/(中央)こまつあかり/(右)河野 竜二

こまつあかり
岩手県出身、鎌倉在住。
ナローキャスター/ローカルコーディネーター
地域のなかにあるあらゆる声を必要な人に伝え、多様なチカラを重ね合わせながら、居心地の良い「ことづくり」をしている。
Instagram @komatsu.akari
@kamakura_coworking_house @fukasawa.ichibi @moshikama.fm828 @shigototen
湘南WorK.の冠番組である鎌倉FM「湘南LIFE&WORK」のパーソナリティを務め「湘南での豊かな暮らしと働き方」をテーマに発信。多様性を大切にした働き方、それが当たり前の社会になること。その実現へ向けて共創中。

小室 慶介(こむろ けいすけ) 
湘南鵠沼育ち、現在は辻堂在住(辻堂海浜公園の近く)。
長く東京へ通勤するスタイルでサラリーマンを経験。大手スポーツ関連サービス企業にて、事業戦略を中心に異業種とのアライアンススキーム構築を重ねるものの「通勤電車って時間の無駄だよな」という想いがある日爆発し、35歳で独立。幼い頃から「自分のスタイルを持った湘南の大人たち」に触れて育った影響か、自分自身で人生をグリップするしなやかな生き方・働き方を模索し始め「湘南WorK.」を立ち上げる。相談者が大切にしていることを引き出しながら、妥協のないお仕事探しに伴走するキャリアコンサルタント。

河野 竜二(こうの りゅうじ) 
神奈川県出身、湘南在住。
教育業界10年間のキャリアで約2,000人の就職支援に関わり、独立。キャリアコンサルタントとして活動する。それと同時に、”大人のヨリミチ提案”がコンセプトの企画団体「LIFE DESIGN VILLAGE」のプロデュースや、日本最大級の環境イベント「アースデイ東京」の事務局など多岐にわたって活動する。湘南が誇るパラレルワーカー。

この記事を書いた人

文筆家。2007年~2018年まで鎌倉に暮らし、湘南エリアの人々と広く交流。
現在は軽井沢に住み、新しい働き方・暮らし方を自ら探求しつつ、サステナビリティやウェルビーイングの分野を中心に執筆活動を行っている。

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