【鎌倉FM 第14回】湘南エンジニアのワーク・アズ・ライフ

今回のゲストは、鎌倉の由比ガ浜通りにあるまちづくり会社「エンジョイワークス」システム開発部の大村俊輔さん。エンジニアとして都内の企業に長く勤め、とあるきっかけで転身。暮らしの拠点を鎌倉に移した大村さんがたどり着いた、暮らしと仕事のバランスとは?

目次

人生に隙間を求めて

大村さん

大学を卒業して最初に始めたのがエンジニアだったんです。10年ぐらいやって、そこからちょっとブランクがあるんですよ。違うことをやっていて。 

河野

何をやっていたんですか? 

大村さん

貿易事務みたいなこと。 

小松

えー? 

大村さん

なぜそれをやっていたかと言うと、単純に時間がほしかったから。 

小室

その前のエンジニアの10年は違ったと。

大村さん

違いましたね。忙しすぎてプラベートはなかったです。プログラミングは大好きだったんですが、ただ組織の縛りの中だと、プログラミング好きなだけじゃできないので。 

河野

「ワーク・ライフ・バランス」っていいますけど、入社して10年は仕事漬けの人生で、そこからやっぱりもう少し自分の時間を求めて、仕事以外の暮らしの部分を充実させていきたいなって? 

大村さん

人生の中の「隙間」、「余白」っていうんですか。 

河野

自分のことを考える隙間もなかった? 

大村さん

なかったですね。まぁ、新卒で入って、それが社会人なんだって思っていて。みんなどこかであきらめるんだと思いますけど、自分はどうもそうじゃないなと。 

河野

なるほど。

体を動かし、部屋にあふれる物を売り払う 

大村さん

実はきっかけは「3・11」、東日本大震災なんです。一生懸命働いていろんな物を所有しても、最後は流されていくんだなぁって。人生は、ある日待ったなしで突然終わることもある。その時、「自分の人生、どうしたかったのかな」ってふと思ったんです。どういう人生を俺は送りたかったんだろうって。 

もう周りのことを気にするのやめて、やりたいことをやってみようと。プログラマーってずっと座りっぱなしですし、体動かそうと思って。近くのプールにちょっと水泳でもしに行こうと。初めの1歩ですよ、そこが。 

小室

時間を作って、体動かし始めて、そしたら変わってきた。 

大村さん

そうです。貿易の仕事をし始めてから少し時間ができたので、プール行ったり、筋トレしたり。もともと買い物が好きで、要らない物もどんどん買っちゃうような、ストレス解消で買い物しちゃうようなタイプだったんです。家に使いもしない物がいっぱいあって。 

河野

そんなに物があふれてたんですね。 

大村さん

まず洋服だったり、本だったり、DVDだったり、全部売っちゃって。 

小松

へぇ! 

河野

その切り替え、すごいですね! 

時間と空間を手に入れ、プログラミングへ回帰 

大村さん

そうすると、生活の中にどんどん空間ができてくるんですよ。ついにテレビも処分しました。それが大きくて、空間だけじゃなくて、時間もできた。しかも体を動かしてるじゃないですか。それが次の格闘技とかにつながって、面白いのは、その格闘技をやっている時に「またプログラミングしたいなぁ」って思うようになったんです。 

河野

へぇ、あれだけ嫌だったのに(笑) 

大村さん

自分が嫌だったのはプログラミングじゃない。ひょっとしたら、会社組織の「働き方」や「ルール」だったかもしれないですね。 

河野

仕事自体は、実は好きだった。

大村さん

そう。技術的なことはもともと好きだったんです。そこから、空いた時間でずっとプログラミングしてました。誰に言われるまでもなく、お金のためでもなく。自分だったらこんなサービス作るなと考えてコーディングしていました。やっぱり俺はこれが好きなんだなぁって。 

小松

自発的に…。 

小室

じゃあ、余白の時間は体動かして、プログラミングをして、すごくシンプルな生活になったんですね。 

大村さん

単純に自分のやりたいことを片っ端からやってたっていうだけなんですけどね。 

河野

その中でサーフィンを始められたんですか? 

大村さん

えっと、そこまだサーフィン出てこないです。 

河野

まだなんですね(笑) 

小室

まだ湘南のショの字も出てきてない。どう紐付くのか、すごいワクワクしますね! 

鎌倉でエンジニア職を見つける

大村さん

これもほんと偶然なんですけど、後輩が逗子に住んでいて。 

河野

おおー、キタ!! 

大村さん

海から1分の所に。逗子トンネルをくぐると目の前に浜が広がっているじゃないですか。ここで生活できるんだ!って驚いた。 

小室

その後輩は、逗子に住みながら都内に通っていたんですね。 

小松

実体験しちゃったんですね、その環境を。 

大村さん

身軽な俺だったらもっと簡単にできるんじゃないかなって。そこから一気に調べ出しました。鎌倉に住めないかなって。 

小松

じゃあ、しばらくは鎌倉に拠点を置いて生活しながら、都内に通われていたんですね。 

大村さん

そうです。そういうもんだと思ってました。由比ガ浜通りが生活圏内なので、ここをよく通るんですよ。で、ある時「おしゃれな不動産屋があるな」って。 

小松

エンジョイワークスに気づいたわけですね(笑) 

大村さん

そう。ただ、不動産だったんで自分には関係ないと思っていたんです。そしたら「フロントエンド・エンジニア スタッフ募集」って書いたチラシが貼ってあった。「何やってんだ、この会社は? 不動産だけじゃないんだ」ってよく調べてみると、ウェブサービスもやっていた。 

小室

エンジニアは、勤めながら仕事としてはやっていないけれども、スキルは全然あるよという。 

大村さん

むしろ最初にやってた10年よりもできるようになっていましたね。しかも好きでやっていたから、自主的に調べてやっていたので。 

自分のフタを外していったら見えたもの

河野

10年間エンジニアをされて、そこから今、エンジョイワークスでやりたい暮らしや仕事ができているという中で、この先、大村さん何かあるんですか? なんかもう「やり尽くした感」というか、もう「手に入れちゃった感」があるじゃないですか。「充実してます!自分」みたいな感じだと思うんですけど、その先に何が見えるんだろうなって。 

小松

この先の野望はありますか? 

大村さん

全てが手に入ってやり尽くしたわけではないです。むしろ生活の中の余計なノイズが減っただけ、充実しているように見えているだけですよ。野望は家と浜辺がつながっているような所に住みたいですね。家から出たら浜辺っていう。今、間に国道134号線があるので。 

河野

そこも越えていきたいと!うわー、すげえな(笑) 

大村さん

まぁ、半分冗談なんですけど(笑)自分にフタをしていたのを少しずつ外していった最後は、目の前に海が見えた。自分の場合はそうです。だから、他の人にとっては山かもしれないし、ひょっとしたら都内に住むってことかもしれないし、ニューヨークに行くぞってことかもしれない。 

小松

人によって、きっと全然違いますよね。 

大村さん

そう。思いっきり楽しんでやろうと開き直ったんです。 

身を置くことで必ず感じるものがある 

小室

このラジオを聴いたりウェブを見た方や、エンジニアの方が、湘南に移住したいなとか、俺も海好きだったんだよな、とか、そういう方に向けたメッセージはありますか? 

大村さん

まず鎌倉に遊びに来てほしいです。自分の目で見て、海を散歩してほしいです。春の晴れた日に来てほしいですね。 

小松

じゃあ、これからですね! 

大村さん

海を見ながらおいしいものでも食べてほしいです。そこで必ず何かを感じるので。鎌倉は山側もあるので、山が好きな人は山に行ってもいいし。何か自分の中の、そのきっかけを見つけてもらいたいなと思いますね。 

*収録・撮影:HOUSE YUIGAHAMA 
(協力:株式会社エンジョイワークス) 

今回のゲスト

大村俊輔(おおむらしゅんすけ)さん 

株式会社エンジョイワークス システム開発部エンジニア 
幼少期を米国ニューヨーク州で過ごす。日本の大学を卒業後、さまざまなウェブ開発案件に従事。現在はMLエンジニアとして推薦システムや予測システムを開発。鎌倉への移住をきっかけにエンジョイワークスと出会い、現在同社のエンジニアとして仲間と共に独自のサービスを開発している。波の良い朝は住まいの目の前の海でサーフィンをしてから出社、鎌倉での暮らしと仕事を満喫中。 
 
▼株式会社エンジョイワークス 
https://enjoyworks.jp/ 
 
▼同社が手掛ける、参加型まちづくりクラウドファンディングサービス「ハロー!RENOVATION」 
https://hello-renovation.jp/ 

ナビゲーター

(左)小室 慶介/(中央)こまつあかり/(右)河野 竜二

こまつあかり
岩手県出身、鎌倉在住。
ナローキャスター/ローカルコーディネーター
地域のなかにあるあらゆる声を必要な人に伝え、多様なチカラを重ね合わせながら、居心地の良い「ことづくり」をしている。
Instagram @komatsu.akari
@kamakura_coworking_house @fukasawa.ichibi @moshikama.fm828 @shigototen
湘南WorK.の冠番組である鎌倉FM「湘南LIFE&WORK」のパーソナリティを務め「湘南での豊かな暮らしと働き方」をテーマに発信。多様性を大切にした働き方、それが当たり前の社会になること。その実現へ向けて共創中。

小室 慶介(こむろ けいすけ) 
湘南鵠沼育ち、現在は辻堂在住(辻堂海浜公園の近く)。
長く東京へ通勤するスタイルでサラリーマンを経験。大手スポーツ関連サービス企業にて、事業戦略を中心に異業種とのアライアンススキーム構築を重ねるものの「通勤電車って時間の無駄だよな」という想いがある日爆発し、35歳で独立。幼い頃から「自分のスタイルを持った湘南の大人たち」に触れて育った影響か、自分自身で人生をグリップするしなやかな生き方・働き方を模索し始め「湘南WorK.」を立ち上げる。相談者が大切にしていることを引き出しながら、妥協のないお仕事探しに伴走するキャリアコンサルタント。

河野 竜二(こうの りゅうじ) 
神奈川県出身、湘南在住。
教育業界10年間のキャリアで約2,000人の就職支援に関わり、独立。キャリアコンサルタントとして活動する。それと同時に、”大人のヨリミチ提案”がコンセプトの企画団体「LIFE DESIGN VILLAGE」のプロデュースや、日本最大級の環境イベント「アースデイ東京」の事務局など多岐にわたって活動する。湘南が誇るパラレルワーカー。

この記事を書いた人

文筆家。2007年~2018年まで鎌倉に暮らし、湘南エリアの人々と広く交流。
現在は軽井沢に住み、新しい働き方・暮らし方を自ら探求しつつ、サステナビリティやウェルビーイングの分野を中心に執筆活動を行っている。

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