【鎌倉FM 第80回】自分にとって最善の仕事の見つけ方
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自分にとって最善の仕事の見つけ方
茅ヶ崎で、夫と海の見えるコワーキング&ライブラリー「Cの辺り」を運営しながら、Webマガジン等のライター&エディターとして活躍する二児の母、池田美砂子さんが今回のゲスト。
大学では数学を修め、社会人のスタートはシステムエンジニア。通勤中に学んで気象予報士の資格を取り、お天気番組制作会社に入社後、天気と密接に絡む気候変動や環境問題への関心が募り、副業で始めたソーシャルイシューを届けるライター業がやがて本業に。近年はとかくページビュー数や「バズり」に注目が集まりがちなメディア業界において、「大勢の人に届く記事よりも、たった一人の人の心を動かし行動を変える記事を書く」ことを大切に、実践者たちへのインタビュー取材とライティングを行っています。
池田さんの生き方・働き方から学べることの一つが、天職とめぐり会うまでの道はまっすぐじゃなくてもいいということ。「やってみたけど違った」、それもまた導きですし、やってみたらその先にもっと広く奥深い世界が待っていたとか、池田さんが海辺の物件やライター募集の告知を見つけた時のように、やっているうちに思わぬ所でご縁と出会うこともあります。何に対しても自分の興味が湧かなくなるほどまで自分を消耗させずに、休み休み自分のエネルギーを温存しつつ、複業可能なこの時代、その時手を伸ばせるものに気軽に手を伸ばし、トライを繰り返していいのではないでしょうか。
また、池田さんがライター・エディターという仕事における自分のポリシーを明確に言語化している点にも示唆があります。あなたが現在取り組んでいる仕事において、自分なりに大事にしていることは何でしょうか? それを言語化してみたことはありますか? 何をするにも自分としての軸・価値基準・判断基準を持っていなければ、業務は全て「やらされていること」になるし、他人に自分の評価を決められるだけ。これでは自己肯定感や自己信頼が損なわれる一方です。
今取り組んでいる仕事が天職かどうかは別にして、その仕事にあたる際に自分のポリシーがあるかどうかを見つめ、できるだけ言語化してみる。それは目的達成とはまた別の、自分の精神の支柱となるもの。それがないままでは、どんな仕事も面白くならないでしょう。裏を返せばそれさえあれば、目の前の仕事の見え方が変わってくるかもしれません。そしてこれは仕事だけではなく、生き方そのものにも言えることだと思います。
池田さんにとっての「働く」とは「生きることそのもの」だそうです。池田さんが、その昔は「仕事」と「稼ぎ」は別物だったというお話をしています。資本主義が極まる中で、いつの間にか「稼ぎ」=「経済」=「仕事の全て」になってしまったけれど、本来の仕事とは、村や地域の共同体のための「コト」に「仕える」営みであったということ。つまりは人間味のある暮らしを仲間と共に維持していくために、自分の時間とできることをギフトすることが「仕事」の原義であったとのことです。
「稼ぎ」は仕事の全てではなく、ましてや人生の全てではない。その“俯瞰”を時々意識して取り戻しながら、今の稼ぎ口とは全く別ジャンルの副業を始めてみてもいいし、もし、あなたが地域に興味があるのなら、地域の行事や集まりに参加してみるのも良いでしょう。あるいは地域ではなくても、自分が好きな趣味や探究テーマと一致するコミュニティに仲間入りしてみるのも良いと思います。つまりは、「稼ぎ」以外のエネルギーの出入口と「職場」以外の居場所を持つということ。
そのバランスの先に、もっともっと楽で軽やかな、あなたにとって最善の働き方や自分の活かし方、幸せの在り方が見えてくるのではないでしょうか。
(角 舞子)
今回のゲスト

池田 美砂子(いけだ みさこ)さん
株式会社be 取締役
ライター・エディター
茅ヶ崎市在住。2児の母。
大手メーカーでシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、2010年よりフリーランスのライター・エディターに。
人の言葉をありのままに受けとめ、本質に触れるインタビューをライフワークとし、Webマガジンやローカルメディアでの執筆・編集に携わる。
共著に『ソーシャルデザイン』『日本をソーシャルデザインする』(朝日出版社)。
2021年には夫とともに“あり方”を探究する会社「株式会社be」を創業し、「Cの辺り(Coworking & Library)」を茅ヶ崎にオープン。
家族プロジェクトや取材活動を通して、暮らしと仕事の境界を耕す。




