【コラム -湘南days- 】自信をもって “迷う” 勇気

「転職すべきか、このまま留まるべきか」という迷いを経験した人は少なくないだろう
現状への不満、将来への不安、でも一歩踏み出すことへの怖さ
そんな曖昧で、答えの出ない宙ぶらりんな感情
実はその迷っている状態はキャリアを深く、豊かにデザインするのに必要なのかも

不確実で正解がないのがあたりまえになった世の中
社会システムのあらゆるものが脆くて、不安や焦りばかりが湧いてくる
原因と結果を単純に結びつけられないことも増えてきていて
目の前で起きる現象は、複雑すぎて理解が追いつかない
そんな今の世界を未来学者のジャメイ・カシオ氏が 「BANIの時代」 と名付けた
Brittle(もろい)
Anxious(不安)
Non-Linear(非線形)
Incomprehensible(不可解)

「BANIの時代」 を生きるために 「自信をもって “迷う” 勇気」 がほしい
イギリスの詩人ジョン・キーツの言葉をかりれば 「ネガティブ・ケイパビリティ」
正解のない謎や疑念、不安の中にいる時に焦って事実や理由を求めずに、
その状態にとどまり、耐えることができる力
転職の迷いを後押しするのも 「ネガティブ・ケイパビリティ」 かもしれない
「不安な気持ち」や「現状への不満」を、曖昧なまま受け容れてみる
すぐに決めず、少し時間をかけて宙ぶらりんな感情を味わってみる

日頃の仕事では 「すぐに結論を出せ」 「明確な計画を立てろ」 と急かされる
転職を考える時も 「何をしたいのか」 「次の職場で何を達成したいのか」
明確な答えをすぐに探し出して安心したい衝動に駆られてしまいがち
けれど、次の一歩は確信からではなく、迷いの深みから生まれると信じて 
心の中に渦巻く不確かさを恐れず、ネガティブ・ケイパビリティを羅針盤として
未来のキャリアをデザインしてみてはどうだろう
その姿勢が感受性をいっそう高め、社会を広く俯瞰し、より内省を深める
他人に流されずに本質的な決断を下すための自信をもって “迷う” 勇気

この記事を書いた人

宮城県出身
鎌倉市在住のキャリアコンサルタント。ライト・キャリア・ガーデン(任意団体)代表、本業は大学職員。

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