【鎌倉FM 第77回】心の麻痺の治し方
ラジオ収録 前半
ラジオ収録 後半



& Column
心の麻痺の治し方
葉山町と横須賀市にまたがる、限りなく原生林に近い広大な常緑広葉樹林地帯「湘南国際村 めぐりの森」を起点に、2016年から地元農家がつくる野菜の瓶詰め商品の製造販売や畑スクール事業を営む「FARM CANNING」代表 西村千恵さんが今回のゲスト。2025年5月にはお住まいのある逗子にて、想いを同じくする仲間たちと共に「めぐる暮らしの入り口に、アースマーケット。」と題したマルシェも開催。湘南の農家をはじめ、地域に根ざし持続可能な循環型社会を目指す多様なプレイヤーたちと、自然のめぐりの中で生きる幸せを出店者も参加者もみんなで体感する場を実現しています。
「この森と畑にあるいのちの循環をそのまま詰めて毎日の食卓に届けたい」。西村さんの商品には、ご自身がコンクリートだらけの都内から葉山に移住し、めぐりの森の畑と出会って農作業を手伝う中で湧き上がってきた、全身の細胞をふるわせるような感動が、バイブスごと詰められているような気がします。自然の中で土や太陽や風、植物や生き物たちのいのちのざわめきを五感で感じ続けることで目覚めた、西村さん本来の感性と原動力。使い切れていなかった回路が開通し、新しい可能性が拓かれていった…「FARM CANNING」創始のエピソードを聴くにつけ、西村さん自身が自然のめぐりの中に入っていったことで「運ばれた」のだなと思わざるを得ません。
西村さんの「働く」とは、「コミュニティの中で生かし、生かされ合うこと」。
野心や計算ではない所から動き出すエネルギーが彼女を駆動させています。めぐりの森と畑からあり余るほどの「温かく明るい本質的な何か」を受け取り、満ちた所からあふれ出す「受容的な能動性」とでも言うべきそのエネルギーは、無理がなく自然で、尽きず湧き出る持続可能な力です。
社会的な仮面を着けながら心を麻痺させて頑張り続けるエンジンでは、いつかエネルギーが枯渇するか、あるいは際限なく「もっともっと」と求め続けることに。西村さんがめぐりの森で自分の最奥にある本当の自分につながり、そこから発している活動だからこそ、本当の自分とつながっている仲間にも出会えるのでしょう。そこには「仮面の我」同士のつながりとは異なる安心感や信頼、自己肯定感があり、だからこそ「家族や兄弟のような」バイブスが生まれているのです。何かの否定や不安からではなく、大きな愛の中で動き出す私。そんな私が成すことは、自然界がくれる実りのように、一粒が一万倍にもなるほどレバレッジがかかり、しかも未来へ向かって循環していきます。
そんな「自然のいのちのめぐり」の輪の中に、入ってみたいと思いませんか?
その身近なきっかけになるのが、西村さんの瓶詰めであり、畑スクールであり、アースマーケットなのだと思うのです。それが「めぐる暮らしの入り口」であるということ。
「いつも思考がぐるぐるする」「何をやりたいのか分からない」。こうした「心の麻痺」の症状が思い当たるなら、いのちのめぐりや本当の私から遠い所に来てしまっているのかもしれません。特効薬は「五感を使うこと」。心につながる五感の回路をもう一度開通させていくことで、目覚める世界があります。西村さんが地元の森と畑で出会ったように、自分の可能性を拓いてくれる出会いは遠くではなく、足元に咲く花のように目を向ければすぐそこにあるのかもしれません。
(角 舞子)
今回のゲスト

西村 千恵(にしむら ちえ)さん
FARM CANNING 代表
東京生まれ、逗子在住。三児の母。
高校時代のドイツ留学にて、田舎のエコハウスに住むベジタリアン・元ヒッピーのシングルマザーだったホストファミリーの生き方に多大な影響を受ける。
都内から葉山への移住を機に2016年「もっと畑を日常に」をコンセプトに、FARM CANNINGを設立。畑仕事と瓶詰めの年間スクールのほか、有機野菜や無農薬野菜の生産者から規格外で出荷できない野菜を仕入れ、野菜のびん詰めの製造販売やケータリング事業を展開。
持続可能な食が当たり前になる世の中になることを目指して現在は逗子を拠点に活動している。