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& Column
引退のない人生を生きるために
少年時代に始めたサッカーにある時から探究心がむくむくと湧き、どうやったらもっと強くボールが飛ぶのか、どうやったらボールが曲がるのかと朝な夕なに自主練をし続けた先に、プロサッカー選手となった小谷光毅さん。ガンバ大阪のアカデミーを経て、「大企業はどうやってチームをまとめているんだろう?」との問いから、ケガを機に一旦、大手証券会社に就職。金融のフィールドで社会・経済・政治などビジネスパーソンとしての視野や基本スキルを身に付けたところで、出張したロンドン支社にて「なぜプロサッカー選手だったお前がこんな所にいるんだ。もうサッカーはいいのか?」と、自分の最も好きなことを思い出すきっかけをもらい、「確かにネクタイはまだ早い」と、戦略的にドイツでトライアウトを受けプロ復帰を果たします。
やがて、ビジネスパーソンとしての自分と、サッカー選手としての自分、どちらも人生に欠かせない、両方あるから豊かなんだと気づいた小池さんは、社会人リーグへ転向。プロサッカー選手として神奈川県社会人一部リーグの鎌倉インテルに所属しながら、2023年にアスリートのキャリア開発を支援する自身の会社「Athdemy」を創業しました。
“アスリートのセカンドキャリア”とはよく耳にする言葉ですが、そもそもなぜ「引退」が前提となっているのか? 小谷さんを突き動かしたのはその「違和感」でした。アスリートが輝き続ける、引退のない世界を創りたい。スポーツの中で育んだ「どうやったらもっと活躍できるのか、どうやったら成功するのか」と自分に問い続け、成長させ続けられる思考の持ち方や、試合に向けて自分の最高のパフォーマンスを引き出すために心身を整えられるスキルは、人生のどんなキャリアにおいても通用する土台だと小谷さんは言っています。「引退」して、別のスキルを獲得し、別の人生が始まるのではない。まず、「今の自分をどうやってもっと活躍させようか」、そのマインドセットが底流となって、その先の人生をもブーストさせていくのだと。
この話は何もアスリートに限ったことではなく、人生100年時代を生きる私たちにも大きな示唆をくれるものです。「現役」とは一体何を指すのでしょう? 年齢? 年収の金額? 会社での地位? それが過ぎ去った時、あなたは「引退」なのでしょうか? それではなんとも薄暗い人生になりそうです。
小谷さんにとって「働く」とは、「挑戦すること、楽しむこと」。労働や仕事といった捉え方ではなく、「挑戦」と「楽しみ」だと捉え直した瞬間にワクワク感が込み上げて、「働く」が全く違った輝きを帯びてきます。これこそが“思考の力”。未来は、私は、これからどうなってしまうんだろうと出口のない不安な思考を繰り返して消耗するよりも、「今、私はどうやったらもっと輝くだろうか、楽しいだろうか」と考えて一つ行動に変えてみる。それをやり続けることが「現役」なのかもしれません。(森田マイコ)
今回のゲスト
小谷 光毅(こたに ひろき)さん
株式会社Athdemy 代表取締役社長
1993年、大阪府生まれ。
ガンバ大阪U-15、U-18日本代表候補。
明治大学体育会サッカー部副主将を務め卒業後、野村證券にてリテール営業を経験。
その後にプロサッカー選手に転身し、ドイツやJリーグで計5年間プレーし、ブラウブリッツ秋田時代にはキャプテンも経験。
2021年よりサッカー選手兼ビジネスパーソンとして神奈川県1部の鎌倉インテルでプレーしながらマネーフォワードやFUNDINNOなどのスタートアップを経験。
また、2023年6月に「アスリートが輝き続け、引退のない世界を創る」というビジョンを掲げるAthdemyを創業。